2022年にモデルチェンジを迎えたシマノ「22ステラ」をアジング目線で考察してみました。
ややマニアックな話も多いのですが、「22ステラ」とアジングの相性について徹底的に掘り下げています。
「22ステラ」のアジング使いを検討されている方はご一読ください。
シマノ「ステラ」が2022年にモデルチェンジ
シマノ社が手がける最高峰の汎用スピニングリール「ステラ」が2022年にモデルチェンジを迎えました。
今作「22ステラ」が掲げているテーマは”Infinity Evolution(無限の進化)”。
鬼のように完成度が高い前作「18ステラ」をさらに上回る!という気概がにじむキャッチコピーが打ち出されています。
Infinity Evolutionを象徴する機構は?
「22ステラ」における無限の進化を象徴するのは、”Infinity”の名を冠する3つのテクノロジー。
- インフィニティループ
- インフィニティドライブ
- インフィニティクロス
シマノ製リールの強みであるギア周りの設計精度をブラッシュアップし、剛性と巻き心地の良さがさらに向上されています。
(インフィニティドライブ、インフィニティクロス)
また、スプールへのライン収納を超密巻きにすることで、ライン放出時の抵抗が減り、飛距離性能も大幅にアップしています。(インフィニティループ)
”インフィニティ”関連のテクノロジーを中心に、ただでさえ高かった「18ステラ」の基本性能が底上げされた形です。
ちなみに、「22ステラ」の強みは他にも盛りだくさん。なんですが、細かい仕様については別記事にまとめています。
もう少し「22ステラ」についての情報を深掘りしたい方は、コチラ(↓)をご覧ください。
≫関連:シマノ「22ステラ」を大特集|インフィニティ・エボリューション(無限の進化)に迫る!
「22ステラ」でアジングに適したモデルは?
今作「22ステラ」には、全16番手がラインナップされています。
その中でアジングによく使われる番手は↓の3モデルです。
機種 | ギア比 | 自重 | 糸巻量 | ベアリング数 BB/ローラー |
---|---|---|---|---|
1000SSPG | 4.4 | 165g | PE0.4号-100m | 12/1 |
C2000S | 5.1 | 170g | PE0.6号-150m | 12/1 |
C2000SHG | 6.0 | 170g | PE0.6号-150m | 12/1 |
最もラインキャパが少ない”1000SSPG”はジグ単特化機。
ジグ単から遠投まで万能に使える2000番クラスのノーマルギアモデルが”C2000S”。
遠投リグやヘビージグ単、メタルジグを使うときに合わせたい2000番クラスのハイギアモデルが”C2000SHG”。
上記のような基準で選ぶのが一般的ですね。
「22ステラ」とアジングの相性がイマイチな3つの理由
前作「18ステラ」から飛躍的な進化を遂げた「22ステラ」ですが、実はアジングとの相性はそんなに良くありません。
もちろん、「22ステラ」の性能にケチをつけたいわけではないです。
ニュアンスとしては、他に優秀な選択肢があるなかで、積極的に採用したいリールではないといったところでしょうか。
要するに、「22ステラ」はアジング軸での相対評価が低めということになります。
その主な理由がコチラ↓です。
- 理由①強いけど重い
- 理由②慣性のある巻き
- 理由③高飛距離の優位性が低い
理由①強いけど重い
「22ステラ」とアジングの相性がイマイチな理由1つ目は、剛性過剰問題です。
リール自体がとても頑丈ではあるんですが、悲しいことにアジング用リールに高い剛性は必要ありません。
そもそもアジという魚は小さめですし、アジングではドラグをゆるめに設定してラインを出しながらやりとりします。
リールに高い負荷がかかる場面がほぼ存在せず、剛性を問われるケースは超稀です。
そして、強いリールってのは基本的に重いというのが宿命…。(金属パーツが多く含まれるため)
「22ステラ」ではアジングタックルの感度向上に不可欠な軽さが少々足りません。
2022年現在、軽量アジングリールのトップランナーは135〜145g。
それに対して「22ステラ」の自重は”1000SSPG”が165g、2000番クラスの2モデルが170gとなっており、ずいぶん重いです。
アジングのリールを選ぶ際は、強さよりも軽さを重視するのが定石。
重たい「22ステラ」をわざわざ採用するメリットは、正直言って少ないです。
そこで、「22ステラ」よりも積極的に使いたい軽量アジングリールが↓あたり。
メーカー | リール | 参考実売価格 | 重量 |
---|---|---|---|
ダイワ | 21ルビアスエアリティ | 5万円台〜 | 150g〜 |
シマノ | 19ヴァンキッシュ | 4万円台〜 | 145g〜 |
アブガルシア | ゼノン | 3万円台〜 | 142g〜 |
シマノ | ソアレXR | 2万円台〜 | 135g〜 |
ダイワ | 20ルビアス | 2万円台〜 | 150g〜 |
シマノ | 20ヴァンフォード | 2万円台〜 | 150g〜 |
お値段もステラよりだいぶリーズナブルですし、アジング使いするなら「22ステラ」よりも上記リールの方がおすすめです。
上表を見ての通り、シマノ製品にもアジング適性の高い軽量リールがたくさんラインナップされています。
少し重めな「ステラ」ときっちり棲み分けが済んでいるわけです。
理由②慣性のある巻き
「22ステラ」とアジングの相性がイマイチな理由2つ目が、”慣性のある巻き”。
ステラの巻き心地がヤバいのは間違いないんですが、巻きの質がアジングと噛み合いづらいのです。
「ステラ」が伝統的に強みとするのは慣性込みの優れた巻き心地。
リーリング時にちょうど良い慣性がはたらくので、一定スピードの安定した巻き取りがすこぶる快適です。
一方で、軽量ローターを採用している低慣性巻きなリールが得意とする鋭いストップ&ゴーがやりづらいという弱点を併せ持ちます。
ロッドアクションと鋭いストップ&ゴーを絡めながらの細かいリグ操作が有効なアジングでは、「19ヴァンキッシュ」等のフィネス系リールを使う方が多くの場合で有利になるでしょう。
理由③高飛距離の優位性が低い
インフィニティループ搭載などによる高い飛距離性能も「22ステラ」の強み。
…なんですが、これもアジングとはそこまで相性が良くありません。
もちろん飛ぶに越したことはないんですが、アジングでは竿やリールの遠投性能が高くてもあまり得をしないんです。
そもそもジグ単での近距離線が主となりますから、10〜15mも飛べば御の字。
ジグ単の距離にアジがいなければ、ランガンしながら撃ち場を変えていけばOKです。
立ち位置を変えずに沖を打ちたい場合は、大人しく重い仕掛けを使う方が快適。
アジングではジグ単と同じスピード感で沖を探れる有浮力系の遠投リグが充実していますからね。
(アルカジック「シャローフリーク」や34「Sキャリー」など)
タックルの強ささえ担保しておけば、重いリグを使ったとしてもあまり不利になりません。
早い話、釣りをしていて「もうちょい飛距離が出せればな〜…」と感じることが少ないのです。
重量のない2.5号のエギをがっつり遠投しないと釣れない…みたいなパターンがあるエギングとはワケが違います。
こんなわけでアジングでは、ロッドやリールの飛距離性能の恩恵が薄いんです。
飛ばないよりは飛んだほうがうれしいけど、飛んだとしてもそこまで旨くない的な…。
要するに、アジングにおける「22ステラ」はそんなに使わない機能が充実した高性能家電のようなものなんです。
バランス調整のための「22ステラ」採用について
アジングでは「22ステラ」の重さがプラスになるケースも存在します。
それが、リールでタックルバランスを整えたいってパターンです。
アジングではアタリや流れの変化を読み取るために、タックルバランス(=ロッドにリールをつけた状態での重心位置)を最適化する必要があります。
細かいことを説明しだすと長くなるので簡略化しますが、要は手元の近くに重心をもってきて、穂先が軽く感じる状態にしたいわけです。
ロッドによっては合わせるリールが軽すぎると、重心が手元よりも穂先側にきてしまい、感度が悪くなる場合もあります。
その傾向が顕著なのが
- 今ほどリールが軽くない時代に製造されたロッド
- グリップから竿先までが長い7ft超のロングロッド
などですね。
このようなロッドは軽量リールの座りが良くないケースが多く、あえて重いリールを合わせて重心を手元に寄せる方がかえって軽く感じたりします。
特定のロッドに合わせる場合は、「22ステラ」の重さが良い方向に作用することもあるってわけです。
※「22ステラ」が必須ってわけではない
ただ、バランス調整用のリールが絶対に「22ステラ」である必要はありません。
この点も付け加えておきます。
170gぐらいのリールでバランスをとりたい場合は、もっとリーズナブルな「21カルディア」という選択肢もありますからね。
それに、他の重量帯にもアジングに十分な性能をもつリール達が揃っています。
アジングによく使われるリールとその重量帯を一覧にしたのがコチラ↓です。
重量帯 | 代表的なリール |
---|---|
140gクラス | ゼノン、19ヴァンキッシュ、ソアレXR(500番) |
150gクラス | 20ルビアス、ヴァンフォード、ルビアス エアリティ |
155gクラス | 22イグジスト、ソアレXR(2000番) |
160gクラス | 19バリスティック |
170gクラス | 22ステラ、21カルディア |
180gクラス | 21フリームス、21アルテグラ、19ストラディック |
190gクラス | 18レガリス、18月下美人MX |
見ての通り、バランス調整に使うリールの選択肢は豊富です。
ちなみに、170g以上のリールは「22ステラ」を除いて、すべてが2万円未満。
性能的に不満を感じないなら、リーズナブルなリールを選ぶ方が賢いといえるかもしれません。
低価格リールに戻れない…って場合は最適解に?
とはいえ、中堅〜ハイエンドクラスのリールを使っている方の中には、「もう低価格リールには戻れない…」という方もいらっしゃるでしょう。
そんな方にとっては、バランス調整要因としての「22ステラ」がアジングリールの最適解になってくるかもしれません。
アジングで使うなら「22ステラ」と「22イグジスト」のどっちがいい?
みなさんもご存知の通り、「ステラ」には強力なライバルが存在します。
そう、ダイワの最高峰リール「イグジスト」です。
「イグジスト」も2022年の同じタイミングでモデルチェンジを迎えており、今作も「ステラ」とバチバチに競合しています。
アジング用に「22ステラ」と「22イグジスト」を買いたいけど、どっちがいいんだろ?
と疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
筆者的には、アジングで使うなら断然「22イグジスト」を推します。
「22ステラ」よりもだいぶ軽いですし、自慢の”エアドライブデザイン”は細かいリグ操作との相性も良いです。
ただ、「22イグジスト」もアジングとベストマッチかと言われれば、怪しい部分もあります。
そのへんについては、↓の記事で詳しく解説していますので、気になる方は覗いてみてください。
≫関連:贅沢すぎ?「22イグジスト」のアジング使いについて考察してみた。
「22ステラ」とアジングは相性微妙か…。
というわけで、シマノ「22ステラ」のアジング的考察は以上です。
少々マニアックな内容も多かったかもしれませんが、端的にいえばアジングと「22ステラ」の相性はイマイチ(あくまで相対的に)ってことになります。
「ステラ」が強みとする領域は、アジングとはあまり噛み合いませんからね。
バランス調整やリトリーブ特化のアプローチといった特定の理由がない限り、アジングに採用する優先度は低いといえるでしょう。
P.S.愛さえあれば問題ないのだ。
…といってもですよ。スペックやゲームとの相性を差し置いても、圧倒的な魅力をもつ魔性のリールが「ステラ」です。
愛さえあれば、あなたにとってベストなアジングリールになってくれるはず。
譲れないステラ愛がある方は、アジングにも自信をもって採用しちゃってください。