ダイワから突如発表された「イグジスト」の派生モデル「イグジストSF」の情報をまとめました。
あえて汎用性を捨て、SF(スーパーフィネス)な性能を追求したぶっ飛び軽量リールの真価やいかに…。
ダイワ「イグジストSF」が登場!
2022年にベールを脱いだダイワの最高峰スピニング「22イグジスト」。
「エアドライブデザイン」をはじめとする新仕様や、オーナーサービスなどの新たな取り組みをひっさげてデビューした「22イグジスト」は、ガチ勢・高級志向のアングラーを中心に人気を博しています。
そんな「22イグジスト」に追加機種(というよりは派生モデル?)が登場します。
その名も「イグジストSF」。(※SF=スーパーフィネス)
超繊細な釣りに特化した番手が揃います。
「イグジストSF」の対象釣種
「イグジストSF」では、対象とするジャンル(釣種)や適正なラインキャパがかなり絞り込んであります。
ラインキャパは、フロロ・ナイロンなどのモノフィラ系ラインなら4lb以下、PEなら0.6号以下。
対象ジャンルは、バス(軽量リグ)、トラウト、ライトソルトということで、使用シーンはかなり限定的です。
汎用性を捨てるからこそ、スーパーフィネスな世界で異次元の強みを発揮する。
「イグジストSF」はそんなリールなのです。
「イグジストSF」と「イグジストLT」の違いは?
「イグジストSF」がスーパーフィネスたる所以は何なのか。
すでに発売されているLTモデルとの主な違いから紐解いていきましょう。
ポイントは以下の5つです。
- ボディのダウンサイジング
- スプールのショート化
- リニアシャフト化
- マグシールドレス化
- 最大ドラグ力3kg
以下でそれぞれの項目について解説していきます。
LTモデルとの違い①ボディのダウンサイジング
「イグジストSF」では、LTモデルと比べてボディを大胆に(約20%)ダウンサイジング。
巻き上げパワーや高負荷時の剛性感は犠牲になりますが、大幅な軽量化につながります。
LTモデルとの違い②スプールのショート化
「イグジストSF」は、LTモデルと比べてスプールもショート化されています。
LTモデル、SFモデルのラインキャパの違いは以下のとおり。
番手 | ナイロン(lb-m) | PE(号-m) |
---|---|---|
LT2000S-P | 3-150 | 0.4-200 |
SF2000SS-P | 2.5-100 | 0.3-200 |
LT2500S | 4-150 | 0.6-200 |
SF2500SS | 3-150 | 0.4-200 |
スーパーフィネスな釣りに合う細ラインが、ちょうどよく収まるキャパシティまでスプールをショート化。
これによってスプールが軽量化されるのはもちろん、ドラグ性能がアップしているというのも見逃せないポイントです。
ラインローラーに入るラインの角度の振れ幅が少なくなることにより、安定したラインの放出が可能に。
ダイワ社では、ドラグが引き出されたときのティップの振れ幅という視点で、ドラグ性能の検証が行われています。
上画像を見てのとおり、「イグジストSF」はLTモデルと比べてドラグが引き出された時のティップのブレ幅が小さくなっています。
このことから、よりスムーズにラインが引き出されていることがわかるというわけです。
LTモデルとの違い③リニアシャフト化
「イグジストSF」は、LTモデルと比べてメインシャフトも小径化されました。
ピニオン後端のボールベアリングもあえて排除し、軽さを追求しています。
LTモデルとの違い④マグシールドレス化
「イグジストSF」は、マグシールドの使いどころも限定的。
この点もLTモデルとの大きな違いです。
マグシールドはピニオン部のみに適用し、不可欠ではない部分のマグシールドは思い切って排除。
この点も軽量化に貢献しています。
LTモデルとの違い⑤最大ドラグ力3kg
「イグジストSF」の最大ドラグ力は3kgに設定されています。(LTモデルの最大ドラグ力は5kg)
フィネスフィッシングに必要なドラグ域をカバーしつつ、域内でより細かなドラグ調整が可能になっています。
「イグジストLT」と「イグジストSF」の共通点
「イグジストSF」と「イグジストLT」の違いは前述のとおり。
フィネスな釣りに全振りする大胆なデザイン変更が行われているのが、ひしひしと伝わってきましたね。
とはいえ、主要な機構については「イグジストSF」も「イグジストLT」もおおむね共通です。
いくつか例を挙げるなら、以下がその共通点です。
- エアドライブデザイン
- フルメタル(Mg製)モノコックボディ
- マグシールド
このあたりについては、「22イグジスト」特集記事等で詳しく解説していますので、ここでは割愛させてもらいます。
ダイワ「イグジストSF」の長所
「イグジストSF」における大胆なデザイン変更は、具体的にどのような恩恵をもたらすのか。
ここからはその点をもうちょいと掘り下げていきましょう。
現行リールでトップクラスの軽量性
「イグジストSF」をLTモデルと比べたときの1番の違いは自重です。
てことで、SFとLTの自重比較はコチラ↓。
番手 | 自重 |
---|---|
23イグジストSF1000S-P ★ | 135g |
23イグジストSF2000S-P ★ | 135g |
22イグジストLT2000S-P | 155g |
23イグジストSF2500SS ★ | 140g |
22イグジストLT2500S | 160g |
どの番手もダイワのスピニングリールで最軽量なのはもちろん、他社を含めた現行のスピニングリール界でも最強クラスとなっています。
軽量スピニングリール界で強い存在感を放つ、ダイワ「23エアリティ」、シマノ「23ヴァンキッシュ」、アブガルシア「ゼノン」との重量比較(※類似番手)は以下のとおり。
▽1000番クラス
メーカー | リール | 番手 | 自重 |
---|---|---|---|
ダイワ | 23イグジストSF ★ | 1000S-P | 135g |
シマノ | 23ヴァンキッシュ | 1000SSSPG | 140g |
アブガルシア | ゼノン | 1000S | 142g |
▽2000番クラス
メーカー | リール | 番手 | 自重 |
---|---|---|---|
ダイワ | 23イグジストSF ★ | 2000SS-P | 135g |
ダイワ | 23エアリティLT | 2000S-P | 145g |
シマノ | 23ヴァンキッシュ | C2000S | 145g |
アブガルシア | ゼノン | 2000S | 145g |
▽2500番クラス
メーカー | リール | 番手 | 自重 |
---|---|---|---|
ダイワ | 23イグジストSF ★ | 2500SS | 140g |
ダイワ | 23エアリティLT | 2500S | 150g |
シマノ | 23ヴァンキッシュ | C2500S | 150g |
アブガルシア | ゼノン | 2500S | 148g |
「イグジストSF」は、いずれの番手も現行のスピニングリールで最軽量クラス。
フィネスな釣りの最先端では、このわずかな重量差が大きなアドバンテージを生み出します。
スピニングリール軽量化のブレイクスルーは次世代の「エアリティ」、「ヴァンキッシュ」あたりかと思っていましたが、良い意味で予想を裏切られましたね。
こういったサプライズの使い方も、さすがダイワ社といったところです。
飛距離性能アップ
「イグジストSF」では、リールの重量が軽くなったことで、キャスト時のスイングスピードが約12%アップ(LTモデルと比べて)しています。
これによって、飛距離も約7%アップしているとのこと。
より広範囲が射程に入ることに加え、これまでフルキャストしないと届かなかった場所へ楽にリグを届けられるという利点もあります。
結果的にキャストアキュラシーの向上にもつながるというのもGoodです。
操作性・感度
タックルの自重が軽くなると、もちろん操作性や感度も向上します。
より精度の高いリグ操作ができるようになり、手元に集まる情報も多くなるというわけです。
感度に関してはダイワ社の比較テストで、LTモデルと比べて約16%向上していることが明かされています。
ここでいう「感度」の定義は以下。
感度とは、ハンドル駆動の有無を問わない、ラインからハンドルノブに伝わる振動伝達性能のこと。
出典;ダイワ
俗に言う「反響感度」のことですね。
この「反響感度」がリーリングの有無を問わず、約16%向上しているとのこと。(LTモデル比)
スーパーフィネスな釣りに情熱を注ぐアングラーにとっては、かなり魅力的なデータでしょう。
ただ、このデータからわかるのはあくまで「反響感度」に限った話。
感度についてのもうひとつの評価軸である「荷重感度」については、また別の考え方も必要になります。
合わせる竿によっては、リールが軽すぎることでタックルバランスが悪くなるケースもありますからね。
荷重感度を損なわないためには、「イグジストSF」に合わせるロッドは軽量リールに対応した比較的新しいモデルを選ぶほうが無難といえるでしょう。
(要は、なるだけ最近発売されていて高額なロッドを合わせる必要があるということですな。)
ダイワ「イグジストSF」の短所
もうおわかりだと思いますが、「イグジストSF」はフィネス方向にとことん性能を尖らせたリールです。
なので、汎用性は高くありません。
実際にダイワ社は、「イグジストSF」の公式ページで以下のようにアナウンスしています。
誤解を恐れずにいうなら、優等生ではない。EXISTのフィロソフィーを継承しつつも、そこに常識はない。バーサタイルではなく一点突破。目指したのは、フィネスを超えるスーパーフィネス。
出典;ダイワ
先に挙げた長所を得ることの代償として、
- 耐久性
- 防水性
- 巻き上げパワー
- 剛性
このあたりの性能がそれなりに失われています。
「イグジストSF」を使う際には、こういった特性を理解したうえでの割り切りが必要です。
太めのラインを巻く必要があるパワーフィネスや、アクションが激しいエギングなどでの使用は推奨されていないという点も要注意。
どんな釣りにも使えるわけではありませんので、自身のやりたい釣りが「イグジストSF」にマッチするのかを事前に確認しておきましょう。
(といっても、「イグジストSF」を買うほどのユーザーは、こんなことは言わなくてもわかってるでしょうけど…)
ダイワ「イグジストSF」の番手ラインナップ
番手 | ギア比 | 自重 (g) | 最大ドラグ力 (kg) | ラインキャパ PE(号-m) |
---|---|---|---|---|
SF1000S-P | 4.6 | 135 | 3.0 | 0.3-200 |
SF2000SS-P | 4.6 | 135 | 3.0 | 0.3-200 |
SF2000SS-H | 5.7 | 135 | 3.0 | 0.3-200 |
SF2500SS | 5.0 | 140 | 3.0 | 0.4-200 |
SF2500SS-H | 5.7 | 140 | 3.0 | 0.4-200 |
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ダイワ「イグジストSF」の価格と発売日
「イグジストSF」は2023年に発売済み。
定価は102,000〜103,000円てことで、おおむねLTモデルと同じぐらいのコスト感です。
現時点での実売価格は9万円前後となっており、まあ高いっす。なんせイグジストですから。
とはいえ、ほぼ一生もんのリールになることは間違いないので、コスパは決して悪くありません。
良いものを長く使いたい主義の方は、購入を検討してみてはいかがでしょうか。
「イグジストSF」の番手一覧
番手 | ギア比 | 自重 (g) | 最大ドラグ力 (kg) | ラインキャパ PE(号-m) |
---|---|---|---|---|
SF1000S-P | 4.6 | 135 | 3.0 | 0.3-200 |
SF2000SS-P | 4.6 | 135 | 3.0 | 0.3-200 |
SF2000SS-H | 5.7 | 135 | 3.0 | 0.3-200 |
SF2500SS | 5.0 | 140 | 3.0 | 0.4-200 |
SF2500SS-H | 5.7 | 140 | 3.0 | 0.4-200 |