様々な釣りで使われる3大ライン「ナイロン」「フロロカーボン」「PEライン」。
それぞれの特徴と違い、得手不得手をまとめてみました。
釣り種を問わず必要なラインの基礎知識、身に付けていきませんか?
ラインの”違い”を比較するための6要素
ナイロン、フロロカーボン、PEは、多彩な釣りで用いられる代表的なラインの材質です。
なんとなくメジャーだから使っているものの、それぞれの特徴をしっかり理解している人は意外と少ないもの。
そこで、本記事ではラインの材質を以下の6要素に分けて、特徴を解説し、比較していきいます。
- 直線強力
- 結節強力
- 伸縮性
- 柔軟性
- 比重
- 耐摩耗性
6つの比較基準について簡単に解説
つらつらと6つの基準を並べてみたものの、
いや、比較基準が6つあるのはわかったけど、漢字ばっかりで難しいわい!
という方もいらっしゃると思います。
それぞれのラインの特徴を解説する前に、6つの比較基準についても簡単に解説しておきますね。
ギュッとまとめたのがコチラ↓です。
- 直線強力:結んでいない状態での強度
- 結節強力:結んだ状態での強度
- 伸縮性::ラインの伸びやすさ
- 柔軟性:ラインの柔らかさ
- 比重:ラインが水に浮くか?沈むか?
- 耐摩耗性:スレに強いか?弱いか
ナイロンラインの特徴まとめ【他のラインとの違い・比較も】
さて、まずは王道中の王道「ナイロン」から特徴を見ていくゾ!
ナイロンラインの特徴&比較①直線強力
一般的なナイロンラインの場合の直線強度は、1号で4lb程度。
主要3種類の材質の中でも標準的なレベルです。
“ある程度の太さであれば、大物相手でも不安はない強度”といったところでしょうか。
ただ、ナイロンは伸縮性が高く、衝撃を上手く吸収するという特徴を併せ持ちます。
数字には現れない強さがあり、表示されている直線強度以上に丈夫です。
魚とのやり取りで不安に感じることはないでしょう。
ナイロンラインの特徴&比較②結節強力
結節強力の高さは、ナイロンラインの特筆すべき長所のひとつです。
ナイロンは伸縮性・柔軟性が高いので、結束しても強度がそれほど低下しません。
結び方にもよりますが、直線強力の85%程度の強度を引き出すことできます。
簡単なノットでも結束強度を担保しやすく、結束に慣れていない釣り初心者の方にもおすすめです。
ナイロンラインの特徴&比較③伸縮性
ナイロンラインの伸縮性は、主要3種の材質の中でもトップクラス。
伸びしろがあるぶん魚からの衝撃をいなしやすく、ファイト時に有利になります。
ただ、伸縮性が高いことにより、アタリや潮流の変化は読み取りづらいというのが欠点です。
伸びが少ないPEラインと比べると、感度はかなり劣ります。
ナイロンラインの特徴&比較④柔軟性
ナイロンラインには適度な柔らかさとコシがあり、柔軟性は標準的なレベルです。
結束に慣れていない釣り初心者でも扱いやすく、トラブルについてもそれほど気にする必要がありません。
ナイロンラインの特徴&比較⑤比重
ナイロンラインの比重は1.1〜1.2程度が一般的です。
水になじみながらゆっくりと沈んでいきます。
主要3材質では真ん中に位置しており、フロロほど沈まないけど、PEのように浮かないといったところです。
自然に漂って沈むので、どんな釣りにも無難に適応します。
ナイロンラインの特徴&比較⑥耐摩耗性
ナイロンは耐摩耗性も、主要3材質の中ほどとなっています。
- PEよりはスレに強くて
- フロロよりはスレに弱い
ってところです。
とはいえ、わずかな傷がラインブレイクを招くほど弱くはありません。
ルアーに直結できる程度の安心感は十分に備えています。
ナイロンラインのまとめ、その他の特徴
ナイロンラインは古くから釣りに用いられてきた歴史ある材質です。
どんな釣りにも適応するので、汎用性はピカイチ。それに、ライン自体の価格も非常に安価です。
塩分や紫外線に弱いので、巻き替えの頻度はやや多くなりますが、それでも十分なコストパフォーマンスを備えています。
釣り初心者から上級者まで、安心して使えるのが魅力です。
フロロカーボンラインの特徴まとめ【他のラインとの違い・比較も】
お次は「フロロカーボンライン」だゾ。スレに強くて、水なじみの良さもMAX!
ルアー界での人気が高い材質だナ♪
フロロカーボンラインの特徴&比較①直線強力
一般的なフロロカーボンラインの直線強力は1号で3.7lb程度。
主要3材質の中で最も低い水準です。
十分な強度を担保するには、他の材質のラインよりも太めのものをチョイスしなければなりません。
メインラインとしてゴリゴリ活躍するというよりは、スレ対策のショックリーダーとして使われることが多いのはそのためです。
フロロカーボンラインの特徴&比較②結節強力
フロロカーボンラインの結節強力は、主要3材質の真ん中に位置します。
扱いやすいナイロンと比べると締め込みが難しく、やや慣れが必要です。
しかしながら、上手に結束できれば直線強力の80%程度の強度を確保できます。
ハードな釣りでも十分に使えるレベルといえるでしょう。
フロロカーボンラインの特徴&比較③伸縮性
フロロカーボンラインの伸縮性は、主要3材質のなかでは標準レベルとなっています。
PEよりも伸びるけど、ナイロンほど伸びないってところです。
適度な伸びが、感度とファイトの安定性のバランスを取ってくれます。
フロロカーボンラインの特徴&比較④柔軟性
フロロカーボンラインはコシが強く、柔軟性が低いです。
比重が高いことも相まって、水中での安定性は申し分ありません。
急流ポイントでも釣りを成立させてくれる安定感も魅力的です。
ただ、糸グセがつきやすいという欠点があり、用心していないとライントラブルが頻発します。
フロロを使う時は、糸の緩みをとってからリーリングを始めるよう気をつけてください。
フロロカーボンラインの特徴&比較⑤比重
一般的なフロロカーボンラインの比重は1.7〜1.8です。
主要3材質の中では最も高い水準。つまり、最も早く水に沈むってことです。
比重が高いぶん、浮力が強めのウキ・ルアーとの相性は良くありません。
とはいえ圧倒的な水なじみは、深場を攻めるとき、強風時などは非常に頼りになります。
タナの釣り分けが重要なルアーフィッシングで重宝されるのはこの為です。
フロロカーボンラインの特徴&比較⑥耐摩耗性
フロロカーボンラインは耐摩耗性にも優れ、主要3材質の中でもトップの水準です。
岩や魚の歯に傷めつけられても、ある程度は耐えてくれます。
しかし、耐摩耗性にも限界はありますので、過信は禁物。
いくらフロロといえども、ゴリゴリに擦られると簡単に切れてしまいます。
その点は予め認識しておきましょう。
フロロカーボンラインのまとめ、その他の特徴
フロロカーボンの特徴をかいつまんでまとめると
- 比重→高
- 柔軟性→低
- 耐摩耗性→高
といった感じです。
ラインの性質的に、道糸ではなく先端部にスポットで使うショックリーダーとして使われることが多くなります。
主役というよりは、縁の下の力持ちみたいな役回りが多めですね。
PEラインの特徴まとめ【他のラインとの違い・比較も】
続いては、ルアーフィッシングのメインラインとして人気のPEラインを見ていきましょう。
PEラインの特徴&比較①直線強力
PEラインは直線強力が高く、ナイロンと比較しておよそ2.5倍の水準となっています。
他の2種類のラインよりも細い号数で強度を担保できるので、飛距離や感度に優れた細いラインの利点を活かしやすいです。
投げ釣りやゲームフィッシングのメインラインとして人気なのもうなずけますね。
PEラインの特徴&比較②結節強力
他の2種類のラインで使われる一般的な結束法を使う場合、PEラインの結節強力は3種類の中で最低水準になります。
PEラインは表面が滑りやすいので、他のラインと同じように結んでいても強度が出ません。
なので、PEラインでは「摩擦系ノット」と呼ばれる、やや特殊な結束方法で強度を担保する必要があります。
摩擦系ノットであれば、直線協力の80%程度の強度を確保可能です。
PEラインの特徴&比較③伸縮性
PEラインの伸縮性はほぼゼロ。
3種類のラインの中で最も伸びがありません。
アタリやアクションがより明確に感じられ、ルアーフィッシングでは大きなアドバンテージとなります。
一方で、ファイト時の衝撃吸収力は低めです。
ショックリーダーを用いるのはもちろんのこと、ドラグ設定にもしっかり気を配らなければなりません。
PEラインの特徴&比較④柔軟性
PEラインは主要3種類のラインの中で最も柔軟性が高いです。
非常にしやなやで巻きグセもつきにくく、キャストの飛距離向上に貢献します。
一方で、独特な扱いづらさがあるのもPEの特徴です。
比重が軽いこともあり、ラインテンションが緩みやすく、ライントラブルが多発しがち…。
釣り初心者の方にはあまりおすすめできません。
PEラインの特徴&比較⑤比重
PEラインの比重は0.9〜1程度。水に浮く、あるいは水中を漂う形となります。
ダイレクトな操作感が失われるぶん、ルアーの挙動に影響を与えづらく、よりナチュラルな誘いが可能です。
その反面、水面の流れや風の影響を受けやすいので、悪天候になればなるほど仕掛けの安定性を保つのが難しくなります。
PEラインの特徴&比較⑥耐摩耗性
PEラインの耐摩耗性は3種類のラインの中で最も低い水準です。
主素材であるポリエチレンが摩耗に弱いことに加え、複数の糸をより合わせて1本のラインにするという構造も摩耗性を下げる要因となります。
例えば、4本ヨリの場合は繊維の1本が破断すると強度が一気に3/4まで下がってしまう…という具合です。
ちなみに、この問題については、8本ヨリや12本ヨリの製品を選べば少しは改善されます。
PEラインのまとめ、その他の特徴
PEラインは前述した特徴から、ハリスやショックリーダーとしては不向きであるため、道糸やメインラインとしてのみ使用されています。
従来は3種類の中で最も高価なラインでしたが、近年は価格を抑えた製品も多数登場しており、ミドルクラスのフロロカーボンラインと同じ価格帯のものもあります。
ナイロン、フロロ、PEのおすすめラインを厳選!
市販されているラインの種類はさまざまあり、どれを選べば良いのか迷ってしまう人も多いでしょう。
ここでは、幅広い釣りの経験がある筆者が選ぶ、ナイロン、フロロカーボン、PEそれぞれのおすすめのラインをご紹介します。
おすすめのナイロンライン
多彩なラインを取り扱う「サンライン」が製造するナイロンラインです。
磯釣り用のラインは、最もバランスの取れた設計であるため、幅広い釣り方で用いることができます。
高性能コーティングを3層でコーティングした「超撥水トリプルレジンプロセッシング」テクノロジーの採用によって、ナイロンラインが持つ本来の良さが最大限引き出されています。
視認性の高いカラーリングも高く評価できるでしょう。
おすすめのフロロカーボンライン
大手繊維メーカーである「クレハ合繊」が製造するフロロカーボンラインです。
価格、品質共に最高クラスの製品で、圧倒的なパフォーマンスは折り紙付きです。
フロロカーボンラインの弱点である直線強力の弱さが強化されており、直線強力の弱さ故にフロロカーボンラインの使用を控えてきた釣り人にも自信を持っておすすめできるラインに仕上がっています。
フロロカーボンライン特有のコシの強さがハッキリと実感できる使用感で、筆者も、長いハリスを使用する釣り方で愛用しています。
おすすめのPEライン
クレハ合繊のPEラインです。
PEラインの特徴のひとつである低伸縮性をさらに追及した「グランドマックスPE」テクノロジーが採用されていますので、変化に対する感度やキャスト時の飛距離はピカイチです。
カラーリングは、視認性の高いピッチタイプになっていますので、見えにくい細いラインでも安心です。
前述したように、8本ヨリのPEラインは、摩耗による子ラインの破断に対する一定の冗長性があるため、筆者は8本ヨリの製品を強くおすすめしています。
ナイロン、フロロ、PEは”違い”を意識した使い分けが重要!
というわけで、釣りで使われる三大ラインについての解説は以上です。
- ナイロンライン
- フロロカーボンライン
- PEライン
にはそれぞれ個性があり、どれが一番良いとは一概に言えません。
ご自身の釣りスタイルやラインに求める性能に応じた使い分けが重要です。
本記事の内容も参考にしながら、あなたにピッタリの材質のラインを選んでみて下さい。