●釣りを始めてみませんか?

最近は定年が延長されて、60歳を過ぎても勤務できる企業が増えています。しかし、仕事量はそれまでと比較してかなり減り、時間に余裕が生まれるのは確かです。そして、いずれは退職しなければならないのも確かです。しかし、日本の男性、特にサラリーマンは無趣味人間が多く、仕事が忙しいのと相まって余暇を過ごすことが得意ではありません。そういう人達は会社を辞めると途端に、「すること」がなくなります。そして、奥さんの「濡れ落ち葉」になったり、地域社会の「困ったちゃん」になったりもします。

そのときのために趣味を始めることをおすすめします。釣りはその趣味のひとつです。ほかにもたくさんの趣味がありますが、釣りをお勧めする理由は、経費がそれほどかからず、狩猟本能を満たしてくれて、自然に触れ、そしてお土産があるという四点です。それらについては折に触れて解説するとして、まずは実際に釣りを始めてみましょう。

●入門には最適の小アジのサビキ釣り

時期になれば誰でも簡単に釣れて、しかも食べて美味しいのがアジです。特に、幼魚である小アジは警戒心が弱く、条件に恵まれれば初心者でも20~30匹釣れることが珍しくありません。

一口に釣りといっても間口は非常に広く、対象魚やフィールド、釣り方によってさまざまな種類があります。それによって道具も異なりますから(一部は共有できます)、すべてを揃えるとなると出費が大変です。最初は使い方もよく分からないでしょう。そこで、まずは一番簡単で、お土産も比較的確実な小アジのサビキ釣りから始めてみましょう。アジという魚なら皆さんよくご存じでしょう。味にクセがなく、たくさんの人が好む美味しい魚です。時期や場所によってサイズは異なりますが、7〜15㎝がメインで警戒心は弱く、食欲が出るとすぐ食ってきます。それだけ釣りやすいのです。

●時期は初夏〜秋

アジ(正確にはマアジ〉の産卵期は西日本(早春〜初夏)と東日本(初夏〜夏)とでは違います。産卵場所は沿岸の浅場で、そこで生まれた稚魚がある程度大きくなり、釣りバリに掛かるようになるのがおおむね初夏から秋です。それが小アジの釣りシーズンといっていいでしょう。

この時期は水温が安定するころとも一致しています。陸上では3〜4月になると春を迎え、一気に気温は上昇します。しかし、海の水はなかなか温まらず、上がったり下がったりを繰り返しながら少しずつ上昇します。水温に対して魚は非常に敏感で、0.1度下がっただけでも途端に動きは鈍くなります。この水温が安定するのが梅雨時期で、このころになれば急に下がることはなく、比較的釣りやすくなるのです。

もちろん、場所によってはもっと早くから釣れるところもあります。日本列島は南北に長く、それだけに地域差は大きいと思っていいでしょう。その辺りは皆さんが住んでいるエリアの情報を集めて確認してください。

●足場がよくて足元から深いところ

堤防は足場がよく、足元から水深のあるところが多いから初心者にとっては釣りやすいところです。もちろん、小アジ釣りにも適しています。

アジという魚は北から南まで広い範囲で生息しています。幼魚である小アジは沿岸部の浅いエリアに住んでいますから、釣りの対象としては非常に適しています。

では、海からどんなところでも釣れるかというと、そういうわけにはいきません。理由を説明しましょう。

まず、足元からある程度水深がないといけません。サビキ釣りという方法は釣り竿の真下を釣りますから、砂浜では不可能です。そこで、まずは堤防という条件が設定されます。堤防なら足元から水深が確保されますから(そうでないところもありますが)、釣りやすくなります。磯でも水深はありますが、足場として問題がありますからこのシリーズでは触れないでおきます。

次に、堤防という地形を少し詳しくみてみましょう。一般的に、堤防は付け根付近が浅く、中間より先に行くとだんだん深くなります。そのため、アジ釣りをするなら中間より先の深いところ(5m以上としておきましょう)を探します。

ただし、新しい堤防は往々にしてテトラポッドが投入されています。本当は消波ブロックという呼び方が正しいのですが、あまりにもテトラという通称が一般化したため以降はこの名前で通します。

外洋に面した堤防では、しばしば外側から先端にかけてテトラポッドが投入されています。このテトラの隙間は魚の住みかになるのですが、釣り人にとっては非常に厄介です。転落するとレスキューのお世話にもなりかねませんし、小道具を落とすとまず回収できません。慣れないうちは近づかない方が賢明です。

このテトラにはいろいろな形状がありますが、共通しているのは足場が悪いことです。滑り落ちてテトラの隙間に挟まれたりすればレスキューのお世話になりかねません。また、小道具を落とすのも珍しくありませんから、テトラで釣りをするのはベテランに任せておきましょう。堤防の外側から先端にかけてびっしりとテトラが投入されている場合は、可能ならば堤防の内側で釣りをしてみましょう。また、港の奥の岸壁でも小アジは期待できます。港内はクルマが横付けできるところが多く、その点では大変便利です。

堤防の条件の三番目は潮通しです。これまで釣りの経験のない人にとって潮という言葉は聞き慣れないでしょうが、海ではよく使います。満潮、干潮、そしてそれに伴う海水の流れを意味しています。潮通しとは海水が流れる度合いで、ほとんどの魚は流れがいいところを好みます。アジも例に洩れません。それを前提とすれば堤防の先端が一番いいのでしょうが、その部分には限られた人しか入れません。

そこで、次善の策として内側や港奥の岸壁で釣りをするのですが、魚の数が多いからそれほど潮通しがよくなくても小アジは釣れます。ただし、条件がやや厳しくなります。それが時間帯と潮の干満です。時間帯とは朝夕の薄暗いころを指し、干満は満潮前後を意味しています。つまり、堤防の先端〜外側でなければ朝夕、または満潮前後によく釣れると思ってください。

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