堤防で釣れる魚にはどんな種類があるか、あなたはいくつ言えますか? 

チヌやグレ、アジ、キス、メバルなどが一般的で、あとはブリ、ボラ、カマスなどがまれな例として挙げられるでしょう。しかし、シイラやヒラマサが釣れる堤防は非常に少ないでしょう。その少ない例の中にこれから紹介する波戸新波止が含まれます。

●クルマから徒歩で約20分

撮影:筆者
芝生広場を取り囲む細い道路脇にクルマを停め、ここから歩いていきます。ルートは二本あり、
一本は新波止、もう一本は岩場に向かもので、新波止には右側のルートを辿ります。

芝生広場の一画にクルマを停めてタックルを取り出し、身につけます。気合いを入れて歩き始めました。これから約20分の山歩きです。

薮の切れ目のルートに分け入ると、いくらもせずに岩場に出ました。あまり足場はよくないので、足首を捻挫しないようにゆっくり進みます。
やがてロープ場に着きました。慎重に崖を下ります。ルアー釣りは道具が少ないから、その点はエサ釣りよりは楽です。

撮影:筆者
薮を抜けると岩場が現れます。これを下らなければ新波止には辿り着けないから、足もとは磯靴で固めた方がいいでしょう。捻挫をすると自力では戻れなくなる可能性があります。

ここから見る限り、新波止のテトラには数人の先客がいます。しかし、足場のいい先端には幸い誰もいません。足場のよくないテトラであえて竿を出すのはエギングかフカセのグレ釣り、またはチヌ釣りでしょう。
先端で釣りをしたいボクとしてはつい急ぎ足になりがちですが、ここで焦るとつまずいて大ケガをしかねません。ことさら慎重に足を進め、ようやくコンクリート部分に辿り着きました。ここまで約20分でした。

●波戸新波止という釣り場

出典:筆者

到着した釣り場は長い波止で、先端以外はすべてテトラで囲まれています。加部島向きのすぐ先には長い沖波止が浮かんでいます。そして、そのさらに先には加部島から延びる藻島の波止があります。加部島と波戸岬の間には計3本の波止があるわけで、ボクがいるのは波戸岬側ということです。

撮影:筆者
岩場から見た新波止です。先端以外はテトラで囲まれており、ビギナーのみなさんには
勧められません。すぐ先には沖波止があり、さらにその先には加部島が見えます

テトラを除けば広くて足場はいいのですが、ところどころ穴が開いています。柵はあるものの、うっかりすると転落しかねませんから十分注意する必要があります。

誰もいない先端で準備を始めます。ここで釣りをする場合、ボクはいつもラインの太さで迷います。飛距離を優先するか、それとも確実に取り込むかです。
ショアジギではチャンスはそんなに多くありません。だから、確実に取り込むことを重視したいのですが、ナブラまで届けるには飛距離が欠かせません。というわけで、ボクはいつもPE2号を使っています。リーダーはフロロカーボンの10号です。

撮影:筆者
新波止には数か所穴が開いています。周囲は鉄柵で囲っているものの、
うっかりすると転落しかねません。特に、夜釣りでは要注意です。

●貴重なヒット、しかし……

とりあえず100gクラスのジグをピックアップしてリーダーに結び、広い範囲を観察します。この日はそよ風が吹いていて、小さな波が立っています。条件としては悪くありません。しかし、ナブラはまったく見えません。すぐ目の前には沖波止があり、そこにも数人のルアーマンが見えます。沖波止には加部島の渡船を利用すれば渡れます。テトラがないから釣りのできる範囲は広く、はるかに有利です。渡船料は3000円だからそれほど負担にはなりません。ボクもいつかはチャレンジしてみようと考えています。

キャストを始めます。カウントダウンしてさまざまな水深を探っていきます。が、まったくヒットする気配はありません。ジグを替え、キャストする方向もいろいろ変えてみましたが、状況は変わりません。

撮影:筆者
波戸岬の名所である海中展望塔です。階段を下りると海の底に達し、周囲の様子が観察できます。海藻の間をメバルが泳ぎ回り、グレやアジ、チヌなども見えます。

フッと一息ついたとき、沖の方にナブラが見えました。急いで腰を上げ、その方向にキャストします。うーん、届かない。
移動するナブラの進行方向を見定めます。沖波止にいる連中もナブラを発見し、一斉にキャストしています。こんなときは飛距離を優先したタックルが有利です。少しずつこちらに近づいてくるナブラ目がけてキャスト。

ゴツン! ヒットしました! 確実にフッキングさせるため二度、三度とシャクリます。すごい引きです。体を反らせて引きに耐えます。そうしないとお尻が浮いて海に引きずり込まれそうになるのです。

30分ぐらい耐えていたような気がしましたが、実際はもっと短かったと思います。獲物が少しずつ近づいてきたような気がしました。ここぞとばかりに巻き取ります。魚は右に左に走りながらも次第に近づいてきます。両手の力が抜けてもう耐えられそうにないのですが、とにかく魚の姿が見えるまでは頑張ろうと誓いました。

白っぽい魚が見えました! どうやらシイラのようです。西九州ではシイラのことをマンリキと呼んでいます。万力で締め付けるほどパワーがあるという意味だそうです。
足もとまで引き寄せることができました。ところが、そこでシイラは左手のテトラの方へ突っ込んでいきました。ヤバい! あれにこすられたら一発でラインブレイクだ。最後の力を振り絞って魚の自由を奪おうとしました。と、そこで突然パワーが消えてしまいました。後ろにひっくり返りそうになったところでかろうじて踏みとどまりました。ラインが風に吹かれてヒラヒラと漂っています。案の定、ラインブレイクでした。

●どんな魚も確実な取り込みを優先

沖波止でキャストを繰り返している人にもヒットしました。見ていると、やはり近くまで寄せたところでバラしてしまいました。どの程度のラインを使っているかは分かりませんが、魚が大きいからなのか近くの地形に問題があるのか、とにかくバラシが多いところです。やはりラインの太さを優先すべきエリアなのかもしれません。

クロダイやアオリイカは別として、グレやバリ(アイゴ)も平均してサイズが大きいためバラシは多いと聞いています。テトラはヒット率が高い反面、足場が悪く、バラシが多いという厄介な代物です。最初から太いラインを使った方が賢明であることを改めて思い知らされました。

●まとめ

みなさんは魚をバラしたことはありますか? 口切れで小アジをバラすのは珍しくありませんが、魚のパワーに負けてラインブレイクする体験はそれほど多くないと思います。バラした直後は悔しくて悔しくて、思い返すと腹が立つほどです。

しかし、バラシを経験すると間違いなく上達します。タックルにも細心の注意を払うようになります。みなさん、せいぜいバラしてください。