主に堤防で釣りをしている人たちにとって、シイラという魚は一般的ではありません。現に、これを読んでいるみなさんは実際にシイラを釣ったことがありますか?大半の人は釣ったことも、釣れたと聞いたこともないのではないでしょうか? そのシイラが九州では堤防で釣れるのです。それが、これから紹介する平戸島・舘浦(たちのうら)漁港です。

GyoGyoくん
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シイラ釣り、興味がありますか?それではまずは舘浦漁港がどんなところなのか、チェックしていきましょう〜!

舘浦漁港沖は流れの速い辰ノ瀬戸

撮影:筆者
平戸島側から見た生月大橋です。橋の下を流れるのは辰ノ瀬戸で、右手に舘浦漁港が見えます。

かつて、平戸島へはフェリーで渡り、渡船基地へカーレースを繰り広げたものでした。早く到着すれば渡船の早い便に乗船することができ、そうすれば好ポイントに渡ることができたからです。

1977年に平戸大橋が完成してクルマが自由に往来できるようになり、フェリーは役目を終えました。もっとも、開通当時は普通車の通行料金が片道700円で、往復すれば1400円。決して安くはありませんでした。それが2010年に無料になり(それ以前に片道100円に値下げされていましたが)、釣り人は大喜びしたものでした。このとき、同時に生月(いきつき)大橋も無料になり(片道200円)、舘浦漁港を含めて生月島の各漁港にも気軽に行けるようになったのです。こうして、堤防シイラの環境は少しずつ整っていったのです。

ここで舘浦漁港の地形的な特徴を紹介しておきます。生月島は平戸島の北西端にある呼崎の沖にあり、その間の瀬戸は辰ノ瀬戸と呼ばれています。一番狭いところでは700mしかなく、ここを流れる潮は非常に速いことで知られています。舘浦漁港はこの瀬戸に面していて、通常の釣りで攻略するのはなかなか難しいところです。

舘浦漁港は北堤防と南堤防がメイン釣り場

出典:筆者

地図を見ればわかるように舘浦には堤防が多く、大小含めて5本あります。このうち、釣り場として人気を集めているのは沖に面していて一番長い北堤防です。中間部にテトラポッドが投入されているため制限はありますが、釣り場が広いだけに収容力もあり、シーズンになるとここにはずらっと釣り人が並びます。

撮影:筆者
南堤防は犬走りが狭く、シイラとやり取りするにはやや足場に問題があります。それもあって、シイラ釣りについては
北堤防に人気が集まるのでしょう。グレやマダイ釣りならそれほど気にはなりません。

対岸の南堤防も瀬戸に面していてシイラは望めるのですが、こちらは短く釣り人の数は限定されます。そういう理由で、シイラを目指す釣り人は最初に北堤防を目指します。そして、混雑を嫌う他の魚を望む人たちは南堤防に向かいます。こうして、自然に住み分けができ、シイラのほかヒラマサやブリ、ヒラスズキをターゲットとするルアーマンは北堤防をテリトリーとします。対して、マダイやグレなどのカゴ釣りをするエサ釣り組は南堤防に布陣します。もちろん、釣り座を確保できなかったルアーマンが南堤防に混じることは珍しくありません。

また、南堤防の内側にある堤防では速い流れに面していないため、チヌやメバル、カワハギなどが望めます。

シイラ釣りのタックルは何にする?

シイラは暖かい海に生息しています。そして、季節に応じて回遊しています。太平洋岸、日本海岸とも夏に北上し、秋にはまた南下するというバターンを繰り返しています。生月島に接岸してくるのはその南下してきた秋です。秋に接岸する理由はもうひとつあり、シイラのエサであるアゴ(トビウオ)の群れがこの辺りに近づいてくるからです。

平戸島の広いエリアでは秋にはペンペンシイラと呼ばれる小型魚が釣れますが、舘浦でヒットするのはそんなレベルではありません。1mを超える大型がアタるのですから、並みのタックルでは太刀打ちできません。ロッドは10ftのHクラス、PEは4号以上、ショックリーダー80lb以上というのが定番です。

ここでの最強ルアーはアゴペン(トビウオの形をしたペンシルベイト)で、向かい風の中でもしっかりキャストできる60g以上のウエイトが必要です。このルアーは舘浦のコンビニ・ファミリーマートで販売されているハンドメイドで、価格は1000円前後とコスパ満点です。ここを訪れるルアーマンは大半がこれを使っていると思っていいでしょう。

いざ実釣!ブレイク、ブレイク、やっとゲット!

風が強く、海面は波立っています。風は正面。ほぼ東です。シイラ釣りには絶好の条件です。午前5時、駐車場はに数台のクルマしか停まっていません。釣れてないのか、それともたまたまなのかはわかりません。

とりあえず、堤防に上がってみました。釣り人はいないのですが、あちこちにクーラーボックスが置いています。特に、先端にはまとまって3個あります。

GyoGyoくん
GyoGyoくん

ンー、ここには入れないなぁ。舘浦では自分の足場を確保するのに道具を置いておくのは暗黙の了解なのです。

テトラの入ってないところに自分の道具を置き、朝食を摂りながら夜明けを待ちます。その間、クルマが1台、2台、3台と次々に入ってきます。みなさん時間をムダにせず、夜明けに合わせて訪れるようで、北堤防の上はあっという間に釣り人で埋まってしまいました。

そして、一斉にキャストを始めます。ボクも負けずにアゴペンをキャストします。しかし、ボイルは見当たらず、まったくヒットはありません。

Hクラスのロッドを続けて振るのは楽ではなく、しかも向かい風の中で70gのアゴペンを飛ばすのですからかなり体力を消耗します。フッと緊張を解いた瞬間、ガツン!と来ました。反射的にフッキングすると魚は一気に走り始めました。
ギーンッ!ドラグからどんどんPEが引き出されます。

GyoGyoくん
GyoGyoくん

しまった!ドラグが緩い!100m、200m……。ヤバい、もうPEがない!

その直後、フッと軽くなってしまいました。ブレイク。テンションが消えたPEを巻き取ると、FGノット部分で切れていました。気を取り直してショックリーダーを結び直し、新たなアゴペンをセットします。

そのとき、周囲の釣り人たちがざわめき始めました。
ボイルだ!ボイルしているぞ!
水面に波紋が見えています。浅ダナを走り回るシイラがすぐそこまで近づいてきているのです。みんな一斉にその方向へルアーをキャストします。遅まきながらボクも投入します。そこかしこで竿が曲がり、そしてボクにもヒット。今度はドラグをしっかり締めていました。頑丈なロッドとラインにものをいわせて1㎜とも出しません。
こうなればパワーとパワーの勝負です。と思った瞬間、またもフッ! 連続ブレイクです。ルアーは無事なようで、どうして外れたのか考えていると、いきなり話しかけられました。

トリプルフックは使わない方がいいよ!今みたいにバラすから

常連らしいルアーマンが優しく解説してくれました。
シイラの口は硬く、トリプルフックでは強烈なフッキングをしないと確実には刺さらないのです。その点、シングルフックだと掛かりやすく、身切れもしづらいそうなのです。ブリやヒラマサとはかなり様相が違います。

そして、常連のアドバイス通りシングルフックに交換したボクは、三度目のヒットでようやくシイラをゲットできたのでした。念願の1mオーバーとはいかなかったものの、80㎝クラスだったからよしとしましょう。

まとめ

撮影:筆者
九州北部ではシイラのことをマビキ、またはマンリキと呼びます。マンリキとは工具の万力で、
それだけパワーが強いことを表しています。生半可なタッマクルでは取り込むことができません。

みなさんはシイラを食べたことはありますか? ほとんどの人は食べたことはないか、もしくは食べた経験はあっても美味しいという印象は残ってないのではないでしょうか。

ブリやヒラマサ、ヒラメなど魚を食べる魚は総じて美味しいのですが、同じフィッシュイーターでありながらシイラの評価はそれほど高くはありません。理由は、鮮度が落ちやすいため水揚げされた港の近くでないと新鮮さを味わえないからです。しかし、最近は保存技術が進化し、また調理方法もいろいろ開発されています。ハワイ語でシイラを指すマヒマヒも人気を集めています。ぜひシイラを食べてみてください。