ヘラウキの選び方のポイント① トップの素材
ヘラウキのトップの素材の分類には、素材自体による分類と内部構造による分類とがあるため、注意が必要です。素材自体による分類においては、ポリカーボネート (以下PC)と、PCをガラス繊維で固めたものとに分類されます。内部構造による分類においては、内部が空洞になっている”パイプ”と、内部が空洞になっていない”ムク”とがあります。
パイプトップはPCのみですが、ムクトップについては、単に”ムク”と呼ばれる、PCをガラス繊維で固めた素材で作られているタイプと、”PCムク”と呼ばれる、ガラス繊維を使っていないPC単体で作られているタイプとがあります。
ここでは、それぞれの長所と短所とを解説していきます。
トップの素材1. パイプトップ
パイプトップ: 長所
パイプトップはその名の通り、内部が空洞になっているため、浮力があります。そのため、重いエサを使用する場合に重宝されます。また、なじみ幅が狭くなるため、狭いタナの範囲に狙いを絞ることができ、放流量が多い釣り場でのウワズリ防止や、集まるヘラブナを縦方向に分散させにくくしたい場面において有効です。
加えて、浮力がある故に太く作ることが容易なため、”視認性が良いのも長所“と言えるでしょう。特に、湖などの規模の大きい釣り場では、使用する竿が長くなることや、大きなエサが使われることなどから、ほぼパイプトップ一択となります。太くできれば、短くても一定のなじみ幅を維持することが可能なので、浅ダナ用の短いウキでは、パイプトップが採用されています。
パイプトップ: 短所
パイプトップの持つ浮力は、アタリに対する感度の面では短所となります。ヘラブナの活性が非常に低いコンディションでは、アタリの小ささはかなりのものになるため、パイプトップで取るのはほぼ無理です。特に、トップの大部分が水の上に出ている状態では、浮力が非常に大きくなっているため、ハリに残っているエサが残りわずかになっている終盤の場面でのアタリに対する感度は、一層悪くなってしまいます。
また、なじみ幅が狭いため、両ダンゴ釣りにおいて、なじんでいく過程で出るアタリでアワセるスタイルの釣り方で用いることも不可能です。
トップの素材2. ムクトップ
ムクトップ: 長所
ムクトップは、内部が空洞になっていない構造のため、浮力が全くありません。また、ガラス繊維で固められている故に重さも重く、トップ単体で水に放り込むと、どんどん沈んでいってしまいます。必然的に、ウキの浮力はボディーの浮力のみとなり、ボディーの浮力のみでトップを支えて立つ形となります。この特徴は、アタリに対する感度においてはプラスであり、極小のアタリでもかなりハッキリと捉えることが可能です。
また、ウキ全体の浮力が小さくなる分、なじみ幅も広くなります。なじむ過程の時間が長くなり、エサの落下時の動きも大きくなるため、なじんでいく過程で出るアタリでアワセるスタイルの釣り方にも適しています。
ムクトップ: 短所
浮力がないムクトップは、重いエサや重い仕掛けを背負うことが困難です。大きなバラケエサを付けるセット釣りや、比重の重いエサを使う場面には不向きでしょう。また、浮力がない分、”なじみ幅を確保するために、トップの長さをある程度長くしなければならない”というデメリットもあり、短いウキで使われることはあまりありません。
ムクトップのヘラウキは、なじみ切った後に浮き上がろうとすると力が弱いため、セット釣りにおいて、”アタリが今一つカチッと決まらない”ということも、筆者もよく経験しています。
トップの素材3. PCムクトップ
PCムクトップ: 長所
前述した通り、PCムクトップは、ガラス繊維を使っていないPC単体で作られているムクトップです。PCにガラス繊維を混ぜると強度が向上しますが、”その分重くなる”という側面もあります。PCムクトップは、ガラス繊維が含まれていないために軽く、同じボディーを持つヘラウキで比較すると、ムクトップよりもウキ全体の浮力は大きくなります。ただし、浮力を持っていないことには変わりなく、トップ単体で水に放り込むと、ゆっくりと沈んでいきます。
ムクトップの感度の良さをある程度維持しつつ、多少重いエサや重い仕掛けでも背負えるようにしたい場面で、この特徴は大いにメリットとなります。また、重さが軽い分、”長く作っても、ウキ全体の浮力に影響を与えにくい点も長所”と言えます。
PCムクトップ: 短所
ムクトップの感度の良さは、ガラス繊維によって重さが増大している点によるところが大きく、ガラス繊維を含まないPCムクトップは、やはり感度の良さがイマイチです。確かに、パイプトップに比べれば感度は高いですが、それでも、ラインにヘラブナの体が触れた際のトップの動きを比較した場合でも、やはりPCムクトップは動きが控えめな印象です。
ウキ全体の浮力についても、ムクトップよりは浮き上がりがいいものの、パイプトップと比べると全く及びません。中途半端な特徴故に、”初心者では使いこなすのが難しい”と考えることもできるため、中途半端な特徴を持つヘラウキの必要性が認識できる程度まで上達してから、購入を検討するのも悪くはありません。