海を眺めたとき、あなたはどんなところなら釣りをしてみたいと思いますか? ビギナーのみなさんに多いのは「深い」ことです。次が「沖にある」ことです。つまり、より深く、より沖に位置しているところほど釣れそうに思うのです。必ずしも間違いではないのですが、それほど深くなくても、そんなに沖に位置してなくても魚が釣れる場所はあります。そのひとつが、これから紹介する唐津・相賀(おうか)漁港です。

●北風に強い釣り場

九州北岸の玄界灘に面した釣り場はほとんどが北を向いています。そのため、連日北西の季節風が吹く冬場は釣りが不可能なところが大半です。しかし、この 相賀漁港は東松浦半島の東側にあって南を向いていますから、冬季でも竿出しできるチャンスは比較的多いという特徴があります。

もっとも、 相賀漁港の周囲は水深がなく、外波止の先端でも竿先は満潮時で4m程度しかありません。潮が引けば底が見えるほどです。そのため、遠投が欠かせません。

撮影:著者
竿立てまで準備している本格的なキャスターがカレイ釣りをしています。
外波止の曲がり角地点です。

波止は2本あります。長い外波止と短い内波止です。外海に面しているのは外波止で、いうまでもなく釣りが楽しめるのは外波止です。周囲は砂地ですから、岩礁帯に潜む魚はまず望めません。砂地を好むキスやカレイ、エソが中心です。数は少ないながらマゴチ、ヒラメといったフィッシュイーターも出ます。この2魚種は釣り上げた小アジをエサにして泳がせ釣りをするのもいいし、ルアー釣りもいいでしょう。

●キスの数釣りを楽しむ

相賀漁港に着いたのは午前10時過ぎでした。魚釣りを始めるには遅い時間ですが、この日は満潮が午後2時ごろだったので、そこに照準を当てたつもりです。7月の半ば、キスの本格的シーズンではありますが、秋とは違って魚はそれほど接岸してきません。特に、水深のない相賀漁港の場合、チョイ投げではそれほど期待はできません。

にもかかわらず、投げ釣りをしている先客のほとんどはチョイ投げです。投げ釣りが市民権を得てもう数十年も経つのに、ビギナーにとって投げ釣りとはイコール・チョイ投げなのかもしれません。先客に釣果を尋ねると、予想通りあまり釣れていないようです。

ここではキスもカレイも遠投有利だとボクは思っているので、0.8号のPEラインを大型リールに巻いています。投げ釣りには25m単位で色分けされているラインが向いています。どの程度飛んだかがわかりやすいのです。

第一投は曲がり角から投げてみました。4色は超えていましたから100mは飛んだことになります。仕掛けが底に届いたところで手前に引き始めます。ゆっくりゆっくり、少し止めて、またゆっくりゆっくり。ここは根掛かりが少ないので安心して探ることができます。とはいえ、一投目、二投目ともアタリはなく、エサは少し残っているだけです。水温が高くなり、エサ盗りも活性が高まっているのでしょう。もっと遠くへ飛ばす必要があるようです。

15号のV字テンビンを20号に交換して再びキャスティングします。今度は5色近く出ました。そこでようやくアタリ。驚くほど竿先が引き込まれました。これはキス特有のアタリです。身体は小さいのにアタリは大きいのです。キスは昔から「小さな大物」と呼ばれていましたが、その理由がこれなのです。

5色以上の距離を集中して攻めたおかげで、その後も順調にキスを追加することができました。

●ウキ釣りも楽しめます

撮影:著者
外波止の曲がり角から手前にはテトラが入っています。足場が悪く、通常は嫌われるテトラですが、海底がフラットな相賀では数少ない魚の隠れ家を提供しているため貴重な存在なのです。
隙間を探るとメバルやカサゴがヒットします。

相賀漁港の周囲は砂地で岩礁帯はないと前述しました。したがって、岩礁を住みかとする魚は期待できないとも。しかし、外波止の外側に投入されているテトラの隙間には魚が住みついています。グレ、メバル、カサゴなどです。砂地を気にしないチヌ、回遊魚であるアジ、スズキも釣れています。

撮影:著者
潜ってみると、テトラの隙間には小型ながらグレの姿が見えました。
手のひらクラスまでなら釣れています。

グレ、メバル、カサゴは沖を流しても意味がないので、テトラの近くを集中して探ります。チヌの場合はコマセでポイントを作れますから、できるだけ同じところにコマセを投入します。チヌはあまり水深を気にしないのですが、やはり満潮前後、または海水が濁ったときの方が警戒心は弱まり、釣りやすくなります。

撮影:著者
住吉宮の裏手にある地磯は意外に広くて足場もよく、
波がなければビギナーでも安心して釣りができます。

ここでひとつ穴場情報を。ポイント図で表示していますが、 相賀漁港の奥に住吉宮という神社があります。その裏にある地磯が狭いながらもウキ釣りの好ポイントで、チヌ、メバルなどがアタります。波止は平坦な砂地ですが、ここなら大きな石が転がっていますからずっと有利です。

●まとめ

撮影:著者
本文では触れていませんが、短い内波止でも魚は釣れます。
小アジ、カサゴ、アオリ、コウイカなどに限られますが、ファンはいるようです。

相賀という地名は、以前は逢鹿と書いて「あいか」と読ませたことに由来するという説があります。それはともかく、相賀漁港は投げ釣りがメインの釣り場だということがわかっていただけたと思います。本文では触れませんでしたが、カレイは40㎝オーバーの良型も出ます(キスは小型が多いのとは対照的ですが)。このカレイを追って、秋後半からは投げ釣りファンがたくさん訪れます。浅くて砂地が広がっていて、一見魅力のないところでも釣りファンを引きつける要素はあるのです。あなたもぜひチャレンジしてみてください。