唐房と書いてなんと読むか、みなさんはご存じですか? 難しい文字ではなく、読み方も格別難しいわけではないのですが、なじみがない読み方のため知らない人はまず読めません。答えは「とうぼう」です。この唐房漁港は足場のいいところが多く、湾奥にあるせいで波もあまり立たず、ファミリーにとってはいい釣り場なのです。

●港は二つ、波止は4本

撮影:著者
旧港の外波止です。右側が浦川の河口ですから、ハゼやスズキ、チヌが期待できます。

面白いことに、唐房には港が二つあります。浦川の奥にあるのが旧港で、外側にあるのが新港です。以前からあった旧港だけでは手狭だったため、外側に新しい港を造成したのでしょう。
かつてはイワシ漁で賑わい、たくさんの水揚げがあったと聞いています。どちらの港にも波止は2本ありますから、合計4本の波止があることになります。

往々にして釣り場は沖に位置するほどよく釣れて、奥にあるところはあまり釣れないものです。唐房漁港もその例に洩れず、釣り場としてのランクは新港の方がずっと上です。それに対して、旧港の内波止は最も奥まっているため潮の動きがよくなく、水深もないため小アジ程度しか期待できません。満潮前後には家族連れが小アジ釣りを楽しんでいますから、それなりに楽しめるところなのですが、ここでは詳しい説明はしないでおきます。ご了承ください。

●制限つきながら人気の高い大波止

撮影:著者
最も沖に面している大波止です。写真の左方が外側で、テトラが入っています。
足場は悪いのですが、ここから竿を出せばグレやチヌ、バリがヒットします。

初めて唐房を訪れた人はまずこの大波止を目指すでしょう。
ただし、新港の大波止はファミリーで楽しむにはいろいろ問題があります。そのひとつは、外側から先端にかけてびっしりとテトラが投入されていることです。二番目の問題は、部分的に外側への投げ釣りが禁止されている点です。唐房漁港は昔からマコガレイが釣れるところとして知られていて、ファンも多かったのですが、釣座が限られたためカレイの釣果は全体に少なくなってしまいました。
また、頭の上を電線が通っているところがあり、うっかりすると仕掛けを引っ掛けるのも問題点といえそうです。

とはいえ、やはり魚は多く、足場の悪いテトラから竿を出すとチヌやグレ、バリ(アイゴ)、メバル、アジ、エギングではアオリ、コウイカがヒットします。テトラ周りではメバル、カサゴも出ます。家族連れでも内側なら問題なく楽しめます。小アジもよく釣れます。

●意外にファンの多い中波止

撮影:著者
写真を見ればわかるように、中波止は広くて先端までクルマが入れます。
キスやカレイの投げ釣りの人気が高く、エギングファンもよく訪れます。

大波止に比較すると奥にある関係でランクは下……と見る人は多いのですが、意外や意外、唐房の中波止は大波止と同じくらい、いや、それ以上にファンは多いかもしれません
テトラがなくて足場がいいことに加えて、広いため先端までクルマが入れるのです。投げ釣りの制限もありませんから、先端からならキスもカレイも狙えます。

さらには、浦川の河口に当たるためハゼやマルスズキも出ます。エギングも可能です。ただ、大波止に比べるとアオリは少なく、コウイカが主体になります。大波止と同じく、こちらも部分的に電線が通っているところがあるので、その点は注意してください。

そのほか、新港の港内岸壁も釣りは可能です。家族連れでサビキ釣りができるのはもちろん、夜釣りに限られますがアジング、メバリングも面白いと思います。カサゴもヒットします。

●ソルトフライでメバリング

撮影:著者
メバルの口に掛かったフライです。フライのパターンは各種ありますから、
自分の好みのものを使ってみてください。

みなさんはソルトフライというのを聞いたことがあるでしょうか。一言でいえば海で使用するフライのことです。メバリングといえばルアーと相場は決まっているのですが、あえてフライを使ってメバリングに挑戦してみました。ルアーだと重量があるため動きを速くせざるを得ず、スレたメバルには見切られやすいのです。その点、フライだと動きはスローなため、スレたメバルでもヒットする可能性が高いというメリットがあります。

冬の寒い夜、完全防備でクルマから出ます。着込んでいるため動きがスムーズではなく、安全を期して大波止ではなく中波止で竿を出します。こちらは足場がいいからテクトロ(テクテクトローリング)が可能なのです。さすがに真冬の夜とあって他に釣り人の姿はありません。満潮まであと2時間。これからがチャンスです。

だが、足元から沖に至る拾い範囲を探ってもなかなかヒットはありません。メバルの活性はまだ上がってないのかもしれません。フライのカラーやパターンをいろいろ替えてみるうちに、ロッドティップになにかの反応が出てきました。ン? 今のは魚なのか? はっきりしません。

しかし、次ははっきりとわかる反応でした。間違いなく魚です。グンと乗ってきました。が、狙いのメバルではありません。小型のカサゴでした。優しくリリースします。

すぐに次の魚がヒットしました。待望のメバルです。15㎝クラスです。
メバルはそこにいるうちの大型からヒットするといわれています。それが本当なら、ここではそれより大きいメバルは食ってこないことになります。
セオリー通り、次にヒットしたのは10㎝を少し超えたサイズだったので移動します。5歩移動してキャスト。アタリなし。また5歩。今度は13㎝でした。

このように中波止を釣り歩き、2ケタに達したところで午前0時を回り、その日の釣りを終了しました。近場でこのサイズがこの数釣れるのですから、唐房という釣り場の底力なのか、それともソルトフライの威力なのか、ボクにはなんとも答えられませんが、満足した釣りでした。

●まとめ

撮影:著者
ゲットしたメバルの中には丸まると太っているものもいました。
この釣り場はエサが豊富なのでしょう。

よく釣れるところは、往々にして足場が悪いとか潮が限定されるなどの制限が多いものです。対して、安全でいつでも竿が出せる場所は釣り人が多く、それだけに魚がスレていてあまり釣れないものです。みなさんならどちらを選ぶでしょう?

唐房はいうまでもなく後者です。唐津の市街地に近く、足場はよく、駐車スペースもたっぷりあるからです。しかし、狙い方を変えてみると、それほど期待できない釣り場でも楽しめるケースがあるものです。典型的な例が夜釣りです。暗くなると状況は一変することがよくあります。足場がいいところだからこそ、夜釣りも安全なのです。ライト類などの装備が必要になりますが、みなさんもぜひ挑戦してみてください。