神集島と書いてなんと読むかわかりますか? 知らないとまず読めませんね。「かしわじま」と読みます。

はるか昔、神功皇后が三韓征伐に向かう際、ここに神々を集めて海上安全を祈願したことに由来します。その神集島では釣りも楽しめます。堤防が中心なので初心者のみなさんも十分楽しむことができます。

●歩いて15分の西波止へ

撮影:著者
航海安全と大漁を司る三柱神を祀る住吉神社です。海中の浮かぶ鳥居に目を引かれます。

みなさんよくご存じのように春はチヌの大型が数釣れるため、初心者入門の大きなチャンスです。初心者のA君を誘って神集島に行ったのがその春のことでした。湊(みなと)港発7時10分の定期船に乗ると、10分もしないうちに到着しました。料金は230円。格安です(釣り道具代金は別途)。

キャリーに荷物を積んで歩き始めます。今日の釣り場である西波止へは15〜20分かかりますから、キャリーは必需品なのです。ルートはアスファルト舗装されていますから、キャリーで運ぶのに苦労することはありません。

「ホントにここで釣るんですか?」
A君が驚いたような声で尋ねました。そこはテトラ波止だったからです。といっても、このテトラは整然と積み上げられていて、比較的足場はいいのです。荷物を最少限にしてA君に歩いてもらいます。意外と簡単だったことでA君は安心して、先端に足場を構えます。

●潮通しがよくて波も適度にある

出典:著者

神集島と九州本土との間の瀬戸は潮通しがよくて、見かけは平凡なところですが意外に魚は多いのです。対岸にある湊港ではかつてザブトンクラスのカレイが連続して上がり、全国から投げ釣りファンが押し寄せたこともあります。この西波止も単純なテトラ波止のように見えますが、春には良型のチヌが数釣れる穴場なのです。
沖は潮が速いので、西波止が作るワイに集中してコマセを入れ、仕掛けを流します。春はまだ水温が低く、エサ盗りはほとんどいません。反面、チヌが食わなければサシエはなくなり ません。退屈な釣りといってもいいかもしれません。チヌが寄ってくるまでは、です。

1時間以上そういう状態が続いたあと、ようやくウキにアタリが出ました。沈みかけたものの、ウキは再び浮いてきました。しかし、チヌが寄ってきたのは確かです。次の一流しでウキは沈んでいきました。
今度はしっかり食い込んだようです。竿先まで乗ってきたところで優しくアワせます。0号の竿をぐんぐん絞り込みますが、産卵を控えたチヌの抵抗は弱く、すぐ浮いてきました。40㎝クラスの春の標準サイズでした。

●A君もチヌを仕留めて興奮気味!

撮影:著者
A君が仕留めた40㎝オーバーのチヌです。

A君にはアタリがなく、苦戦しているようです。どこにコマセが溜まっているかが正確にわかってなく、一投ごとに違うところを流しています。コマセの流れていく先が見当がつかないときはそういう流し方をする場合もありますが、現時点ではワイの緩い流れにコマセを投入していますから、どの辺りに溜まるかはわかりやすいはずです。

A君には、コマセがどのような沈み方をしているか観察するようにアドバイスします。チヌ釣りでは重たいコマセを準備するのは、どこに沈むか見当をつけやすいのも理由のひとつです。

コマセが溜まっていると予想される地点を何度も繰り返して流すように指示すると、やがてウキに変化が表れました。チヌの数は多いようです。しかし、どうしてもスムーズに食い込んでくれません。すぐにでもアワセたいA君を制し、ウキが完全に見えなくなるまで待つように言います。すると魚はサシエを離し、ウキは浮いてくるのです。

試しにサシエを替えてみたらと提案します。チヌは同じエサばかり使っていると食欲が減退す傾向があります。そこで、異なるエサに交換すると一気に食い込むことが多々あるのです。

どうしてもチヌを釣りたいA君はオキアミをエビのムキミに替えたようです。すると、その途端にチヌは食い込んできました。ぎこちないやり取りの数、A君は無事にチヌを取り込みました。興奮しているのか、A君の手はブルブル震えていました。

●主な釣り場は三か所

撮影:著者
先端に赤灯台が立つ中波止です。ここは小アジやキスの釣り場と思っていいでしょう。
数は少ないのですが、チヌもヒットします。

神集島は独特な形をしています。アルファベットのCを左右反転させたような形状で、窪んだ部分の奥に港があります。いわば天然の良港で、この部分の沿岸に集落が密集しています。この港に長い中波止があり、神集島を訪れた釣り人の大半はこの中波止を目指します。

ただし、周囲は砂地で、入江の奥にあるため潮の動きはあまりよくありません。早くいえば、魚はあまり期待できないということです。釣れるのはメバル、アジ、キス、それに少しばかりのチヌです。足場がいいのと、船着場から近いというのがこの中波止の特徴です。

二番目の釣り場は神集島の南東部にあります。黒瀬という地名から、黒瀬港と呼ばれています。以前は大敷波止ともいわれていました。ここに大敷網でも設置されていたのでしょうか。船着場から遠く、ここへ行こうとすれば歩いて30分はかかります。しかし、中波止と比べて潮の動きがよく、水深もあるためグレやチヌは多く、秋にはヤズ(ブリの幼魚)などの回遊魚もヒットします。そのため、湊港からチャーター船を利用してここに渡る人もいます。

撮影:著者
西波止は付け根部分のみがコンクリートのケーソンで、
その先はすべてテトラで構成されています。

三番目が最初に紹介した西波止です。紹介したように、船着場からは歩いて15分ほどかかります。それに、テトラだから足場にも問題があります。それでも魚影が濃いため、ファンは少なくありません。サワラやヒラメ、スズキ、ヤズも期待できます。

●まとめ

一般の釣り人に神集島の情報が入ってくることはほとんどありません。入ってくるとしたら友人、または懇意にしている釣具店からというのがせいぜいです。
反面、情報が少ないと釣り人が集中することはなく、のんびりと釣りが楽しめます。とりあえず自分で足を運び、実際に神集島で釣りをしてみることをお勧めします。

春に西波止でチヌを狙うもよし、黒瀬港でグレ釣りを楽しむのもよし、または家族連れで小アジやキスを狙って中波止で遊ぶのもいいでしょう。神様が集まる島だけに、ご利益も大きいかも?