いつも堤防で釣りをしている皆さん、グレードアップして磯釣りに挑戦してみませんか?磯は堤防のように釣り人で混雑するケースは少なく、それでいて魚は大きく、種類が豊富という特徴があります。

反面、注意しなければならない点は多いのですが、渡船を利用する本格的な磯釣りにいきなりチャレンジするのではなく、その前の段階として歩いて行ける地磯で釣りをしてみることをお勧めします。ゴトウ瀬は磯釣り気分を満喫できる地磯のひとつです。

●干潮で渡って次の干潮で戻る

撮影:筆者
大潮の干潮時はここまで引きますから、楽々歩いて渡れます。
ただし、磯は凹凸が激しいので慌てずにゆっくり歩いてください。

東松浦半島の一番北に波戸岬(はどみさき)があります。観光地としてよく知られたところで、海中展望塔や海水浴場があり、夏期は多くの行楽客で賑わいます。ゴトウ瀬はこの波戸岬の先端にあります。

まだ暑さの残る10月の半ば、この釣り場を訪れました。観光客用の駐車場にクルマを停めたのは朝6時。キャリーに釣り道具を積んで遊歩道を歩きます。10分ほどで鳥居に着きました。遊歩道はここまでで、この先は岩場が続きます。ゴトウ瀬と鳥居との間は潮が満ちると水没しますから、潮が引いたときしか渡れないのです。ですから、潮汐表で調べて、潮が引く時刻をしっかり把握しておかなければなりません。釣りに夢中になっていると干潮を逃して戻れなくなる可能性がありますから、この点は注意しなればなりません。

撮影:筆者
キャリーはここまで持ち込めます。あとは担いでいくしかないので、
荷物はできるだけ少なくした方が賢明です。

キャリーから荷物を下ろし、岩場を歩きます。潮が満ちると水没するところですから滑りやすく、磯靴は欠かせません。慎重に足を運んでも10分もせずに釣り場に到着します。目の前には加唐(かから)島と松島が浮かんでいて、その間の水道は潮の動きがよく、ここではさまざまな魚がヒットします。水深もあり、グレ、マダイ、チヌ、アジ、秋にはハマチやサワラなどの青物も回遊してきます。釣り場としては1級といってもいいでしょう。

●速い流れをどう釣るか

撮影:筆者
右流れの場合は右端から、左流れのときは左側から竿を出すのが原則です。
釣り人が多くなるとなかなか思うようにはいきませんが。

この釣り場では速い流れを攻略しなければ釣果を得ることはできません。本流を釣るなら0.5〜1号のオモリを使ってサシエを強制的に沈める必要があります。ウキ下は5m以上で、アタリがなければ10〜15mにすることもあります。そして、それに合わせてコマセを同調させる必要があります。地元の釣り人はその問題をたやすく解消するためカゴ釣りを採用しました。かつてはフカセ釣り(アミカゴを用いない釣り方)の技術が未熟だったため、手っ取り早いカゴ釣りをみんなが選んだのもうなずけますし、今でもかゴリ釣りファンは多いといっていいでしょう。

一方で、フカセ釣りの技術が進化し、道糸やウキ、ハリス、ハリなども改良されて速い流れの中でもフカセ釣りてせ対応できるようになりました。テクニックについてここで解説している余裕はないので、足元から本流に引かれる流れを釣るとか、本流が緩む時間帯や場所を集中して攻めるとだけ記しておきましょう。もちろん、水温が高い時期はエサ盗りも豊富にいますから、その対策も考えなければなりません。エサ盗りに強いネリエやエビのムキミ、ハードタイプの加工オキアミなど何種類か持参しておきましょう。

●グレ、マダイ、アイゴがヒット

撮影:著者
北部九州ではバリと呼ばれる魚です。それぞれのヒレに毒性の強いトゲがあり、刺されると
2時間は激痛が続きます。バリの目玉をすり潰してそれを患部に塗ると痛みが治まるという
説がありますが、本当かどうか……?

足元にマキエを集中させてエサ盗りを集め、沖を流しているボクの仕掛けに最初にヒットしたのはバリでした。この魚はアイゴという標準和名を持ち、強烈に抵抗することで知られています。引きが強くてそれだけに楽しめるのですが、刺されると腫れ上がる毒トゲを持ち、アンモニア臭が強く敬遠する釣り人も少なくありません。ただ、白い身はよく締まっていて、臭いをうまく処理すれば美味しく食べられます。

ボクは優しくリリースして次の魚を狙います。エサ盗りに苦労させながら小型のグレが数匹ハリに掛かったあと、今度はマダイがヒットしました。30㎝弱の塩焼きサイズです。これは家族が喜びます。ていねいに締めて血を抜き、クーラーボックスに納めました。

時合いが訪れたのか、すぐ横でカゴ釣りをしていた釣り人に大物がヒットしました。魚は右に左に走り回り、なかなか近づいてきません。走り方を見るとどうも青物のようです。一度は足元まで近づいてきましたが、またまた沖に走ってしまいました。この釣り場では1.5号以上の竿を使わないと周囲の人が迷惑します。ハリに掛けた魚は早く取り込むようにしてほしいものです(予想外に魚が大きい場合は仕方がありませんが)

その後は25㎝前後のグレやマダイを追加してこの日の釣りは終了しました。

●まとめ

撮影:筆者
少し高いところにある灯台から撮影したゴトウ瀬の全景です。

ゴトウ瀬の最大の特徴は干潮時にしか渡れないことです。それが障害であるのは確かで、ほかに障害のない釣り場はたくさんあります。なぜ、問題のある釣り場を取り上げたかというと、それだけ訪れる釣り人が少なく、スレてないというのが大きな理由です。

明日釣りに行こうと思っても、干満の時間が合ってなければ釣りには行けないのです。干潮から次の干潮までは12〜13時間あります。朝8時が干潮だとしたら、次の干潮は夜の8〜9時になります。釣りタイムとしては長く、帰りが遅くなるという課題もあります。それだけに釣り人は多くはないことが納得できると思います。

そのこともあるし、釣り場自体が広くないのもあって釣り人の数は多くありません。堤防に比較するとずっと少なく、子供たちが走り回ることもありません。それでいて魚がよく釣れる。それが磯のいいところです。皆さんもぜひチャレンジしてみませんか。ただし、風が強く、波が高いときは決して近づかないでください。自分の身は自分で守るというのが海のルールです。