地磯は大自然溢れるフィールドで、場所によっては大型のヒラマサやカンパチなどが狙えるロマンに満ちた釣り場です。
しかし、堤防や漁港とは違う荒々しい大自然がアングラーを待ち受けているため、しっかりとした装備をしておかないと大怪我に繋がる可能性もあります。
地磯は釣り場まで歩く距離が長い事も多いため、釣り場に着いた瞬間に怪我をしてしまうと悲惨な状況に陥ります。
地磯の大自然を満喫するためにも、今回は地磯釣行をする際の装備や楽しみ方を徹底解説します。
今までは堤防や漁港しか行った事がないという方は、ぜひチェックしてくださいね。
地磯釣行は装備をきちんとしないと大変
地磯は沖磯とは違って、陸地を歩いて釣り場に向かっていく事になります。フィールドによって様々ではありますが、山道を長時間歩いたり、滑りやすい岩の上を歩いたりと様々です。
重い荷物を背負ったまま岩の上で滑ってしまい、岩の上から落ちてしまうと大怪我に繋がってしまう事は容易に想像出来てしまいます。
せっかくの楽しい釣りが怪我で終わってしまうのはあまりにも辛いので、ぜひ装備はきちんと揃えましょう。
以下からは、地磯での装備についてご紹介しますので、ぜひチェックしてくださいね。
磯靴を履いて安全に移動
地磯釣行において、最も重要といっても過言ではないのが磯靴です。磯靴は靴の裏に滑り止めのピンやフェルトが付けられた靴の事を指し、滑りやすい岩の上や急な山道などでアングラーの身を守ってくれます。
磯靴には大きく分けて3種類あり、用途は多少異なります。以下のリストをご覧ください。
- スパイクシューズ:靴底がゴム、合成樹脂などで出来ており、ピンスパイクが複数付けられたもの。
- フェルトシューズ:靴底にフェルトが付けてあり、ピンスパイクがないもの。
- フェルトスパイクシューズ:靴底がフェルトになっており、フェルトの間からピンスパイクが複数付けられたもの。スパイクシューズとフェルトシューズのハイブリッドと言えば分かりやすいです。
上記を見て頂ければ分かる様に、それぞれが異なった特徴を持っているのでどれを選べばいいのか分かりにくいですよね。
以下からは、それぞれの磯靴がどんな場所に適している、適していないのかをご紹介します。行こうとしている地磯に合わせて、磯靴を選んでみてくださいね。
スパイクシューズはこんなところがマッチ
スパイクシューズは靴底がピンスパイクが突き出た形状なので、ごつごつとした岩場を得意としています。
ごつごつとした岩場であれば、ピンスパイクががっちりと噛む事が出来るのでグリップ力は抜群です。
その反面、ピンスパイクが噛む場所がないと非常に滑りやすいという一面も持っています。
テトラポットが良い例で、つるつるとした面を持つテトラポットの上ではピンスパイクは逆に危険を招きますので注意しましょう。
また、足が疲れやすくなってしまう一面も持っているので、長時間歩く場合は辛い可能性があります。
フェルトシューズはこんなところがマッチ
フェルトシューズはスパイクシューズとは違って、つるつるとしたテトラポットの上やゴロタ浜での使用に適しています。
ごつごつとした岩場での使用にも適していますが、海藻や濡れたコケがある様な場所には非常に弱いです。
雨が止んだばかりで濡れている場合も滑ってしまう可能性があるので、注意はしておきましょう。
フェルトシューズは足が疲れにくくなっているので、極力足に疲れを残したくない方にはおすすめです。
フェルトスパイクシューズはこんなところがマッチ
フェルトスパイクシューズは、スパイクシューズとフェルトシューズが合体した様な特徴を持っています。
一見するとフェルトスパイクシューズが一番良いのではと思ってしまうかもしれませんが、性能としてはどっちつかずです。
フェルトシューズの性能にピンスパイクの性能を足したイメージですが、ごつごつとした岩場に行くのであればスパイクシューズ、テトラポットやゴロタ浜メインであればフェルトシューズがおすすめです。
ごつごつとした場所かつるつるとした場所のどちらに行くか分からなかったり、堤防や漁港でも使用したいという方にはおすすめです。
バッカンやクーラーボックスを持ち運ぶなら背負子を用意
地磯釣行で苦労するのが荷物の運搬です。特に、コマセなどを入れるバッカン、魚や飲み物を入れるクーラーボックスの運搬が非常に大変です。
ただでさえ足場が悪い地磯を歩くのに、重いバッカンやクーラーボックスを手で持ち運ぶのは苦行といっても過言ではありません。
ショルダーベルトなどで肩にかけてもいいですが、歩いていると左右に揺れて不安定になってしまいますし、足場の悪い場所では歩きにくいです。
そんな時に役立つのが背負子(しょいこ)で、バッカンやクーラーボックスを背中に背負う事が出来ます。
背中に背負える事で安定感も増しますし、肩への負担もショルダーベルトに比べて大きく軽減されます。
荷物が多い方は、ぜひ背負子を活用してみてくださいね。
機動性を重視したいならリュック+ソフトクーラー
地磯は時に30分以上も歩く事があるため、大荷物を持ち運ぶのは何としても避けたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。筆者もその一人で、出来るだけ荷物を減らし、楽に釣り場まで辿り着きたいと思っています。
楽に釣り場まで行くためには荷物を減らす事も重要ですが、荷物をいかに持ちやすくするかという点も重要です。
上記でご紹介した背負子はバッカンやクーラーボックスを運搬しやすくするためのアイテムですが、背負いやすさはリュックの方が上です。
そのため、リュックに最低限の仕掛けやルアーなどを詰めて移動する方が身体は非常に楽です。
さらに、クーラーボックスは車に置いていき、ソフトクーラーを持って釣り場に行く事で大幅な荷物の軽量化が実現出来ます。
しかし、保冷力はクーラーボックスの方が勝ってしまいますので、車に戻ったら必ずソフトクーラーからクーラーボックスに魚を移し替えましょう。
移動中もグローブは着用しよう
釣りをしている時はグローブを着用する方が多いと思いますが、釣りをする時だけでなく地磯の移動中にもグローブを着用する事が大切です。
なぜグローブが必要なのかというと、地磯を歩いていると岩場に手をついて歩く事が頻繁にあります。
手をついた際に鋭い岩や貝などで手を切ってしまう可能性が非常に高く、バランスを崩して手を強くついてしまった際には大怪我をしてしまう可能性があります。
グローブをしていれば完全に安全という訳ではありませんが、素手に比べると保護力が大幅にアップします。
岩場をよじ登る事が求められる場所もあるので、グローブは着用していても全く損はないですよ。
釣り場に向かう途中もライフジャケットを着用しよう
釣りをする際の必需品であるライフジャケットですが、地磯釣行においては釣り場に向かう途中でも必需品となります。
山道をメインに渡り歩く場所ではあまり必要性はありませんが、波しぶきをかぶってしまうような岩場を渡り歩く場合などにはライフジャケットは必須です。
万が一足を踏み外してしまうと落水してしまうリスクがありますが、地磯で怖いのが岩場で頭を打って気を失ってしまう事です。
浅い水深に落ちたとしても、気を失っていたら息が出来なくなってしまいますよね。自分の命を守るためにも、ライフジャケットは移動中にも必ず着用する様にしましょう。
また、ライフジャケットを選ぶ際は、浮力体が入ったベストタイプのものを選ぶ事をおすすめします。
膨張式のライフジャケットでは岩場で裂けて浮力効果を失ってしまうリスクがあるので、気を付けましょう。
夏場は飲み物を多めに持っていこう
地磯釣行では命を守る装備が求められますが、特に夏場に求められるのが飲み物です。
夏場だけという事もありませんが、猛暑の中地磯で釣りをしていると、まるで火で温められているフライパンの上で釣りをしているのではないかと錯覚するほど暑くなります。
そのため、水分補給をしっかりと行う事が非常に重要になります。しかし、地磯に自動販売機などは一切ないので、飲み物が尽きてしまうと脱水症状のリスクが一気に高まります。
冬場などはそこまで多くの量は必要ないかもしれませんが、夏場の暑い時期などは飲み切れるか自信がないという量を持って行っても損はないので、飲み物の量には気を付けましょう。
怪我に備えてバンドエイドや消毒液は用意しておこう
地磯で怪我をするリスクについてご紹介してきましたが、怪我をした際の事を考えてバンドエイドや消毒液などを用意しておく事がおすすめです。
岩場で手を切ってしまうと、細菌が傷口から入り込んで膿んでしまう可能性もあります。もちろん、手だけでなく膝などを怪我する可能性もあります。
多くは軽く切り傷になる程度で済む事が多いので、最低限バンドエイド、消毒液の2点は用意しておく事をおすすめします。
釣りを安全に楽しむために確認すべき事
ここまで、安全に地磯釣行を楽しむための装備についてご紹介してきましたが、ここからは釣り場に着いてからの事についてご紹介します。
釣り場に着いても安全でなかったり、魚が掛かってもランディング出来ない様な場所では満足に釣りを楽しめないですよね。
苦労して辿り着いた釣り場で最大限釣りを楽しむためにも、ぜひチェックしてくださいね。
足場が滑らないか確認
釣り場に着いたら、まずは足場が滑らない場所を探す事が大切です。足場が滑る様な場所では釣りをしにくいですし、万が一足を滑らせてしまうと岩場にタックルをぶつけて破損させてしまうリスクもあります。
磯靴を履いているからといって過信せずに、絶対にここなら大丈夫という足場で釣りを楽しみましょう。
波をかぶらないか確認
地磯は波をかぶってしまう事が普通とも言える様な場所なので、釣りをしている最中に波をかぶらないかどうか確認が必要です。
波の度合いにもよりますが、波をかぶってしまうと波に引き込まれて落水してしまうリスクがあります。
引き込まれるほどの強い波が来る事はそんなに多い訳ではありませんが、その日の潮や天候によっては常に強い波が来る事もあるので、必ず波をかぶらないかどうかは確認しておきましょう。
荷物が安全に置いておけるか確認
地磯で釣り座を決めたら荷物を置く事になりますが、荷物を安全に置いておけるかどうかがとても重要です。
上記でもお伝えした様に、地磯では波をかぶってしまう事が非常によくあります。そのため、アングラーではなく荷物が波に流されてしまう可能性もあります。
波に流されなくても、荷物が海水でびしょびしょになるのは不快ですよね。大切な荷物を守るためにも、水面から遠い場所に荷物を置く様にしましょう。
また、岩場は不安定な事が多いので、風で荷物が岩の下に落ちない様にも注意が必要です。
魚をランディング出来る場所か確認
地磯では大型の青物やロックフィッシュなどを狙う事が出来ますが、せっかく魚を掛けてもランディング出来なければ意味がありません。
堤防や漁港ではタモを使って簡単にランディング出来ても、地磯ではそう簡単にはいきません。
タモを出したくても岩場が邪魔をして中々ランディング出来ず、結局逃してしまうという状況になると悲惨なので、魚をランディング出来る場所かどうか必ず確認しておきましょう。
事前に確認しておく事で、いざ大物が掛かったとしても慌てずに対処する事が出来ますよ。
装備をきちんと揃えて安全に地磯釣行を楽しもう!
地磯は大自然の中で釣りをする事が出来、大物を狙う事が出来るので多くのアングラーが愛しているフィールドです。
堤防や漁港とは違って完全に大自然の中での釣りなので、日々抱えているストレスも忘れる事が出来ます。
しかし、大自然の中で釣りをするという事は常に危険と隣り合わせでもあります。岩場で滑ったり波にのまれたりと、大怪我に繋がる様な事が不意に襲ってきます。
そういったリスクを回避するためにも、地磯では事前の準備や装備の確認、現場での確認事項を守るといった事が非常に大切です。
地磯は非常に楽しい釣り場ではありますが、「なんとかなるでしょ」、「びびりすぎでしょ」といった気持ちのままでは、絶対に地磯には行かないでください。
安全意識に欠けたまま地磯釣行を決行してしまうと、確実に怪我をしますし、最悪の場合戻る事が出来なくなります。
「大物が釣れて良かった」、「ぜひともまた来たい」といった気持ちで気持ち良く帰ってほしいので、ぜひとも本記事でご紹介した事を実践してみてください。
そうすればきっと、地磯釣行の虜になりますよ。
釣りをする際はライフジャケットの着用を徹底し、安全な状態で釣りを楽しんでくださいね。