潮通しがよく、マダイやアジ釣りが楽しめる 佐賀・呼子大橋下の地磯

1998年、佐賀県の新しい魅力に満ちた景観を県民に選んでもらおうという企画「新さが百景」が実施されました。そのときトップに選ばれたのはどこだと思いますか? それが呼子大橋です。佐賀県民のハガキによる投票で、呼子大橋は断然トップの票を集めたのです。 この橋の下に歩いて行ける地磯があります。それをこれから紹介しましょう。

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●遊歩道の先にある地磯

撮影:著者
弁天駐車場からこの階段を下りると遊歩道に出ます。A点までここから歩いて15分ほどです。

呼子大橋は九州本土の呼子と加部島を結んでいます。橋の両側には無料駐車場とトイレがあり、観光客はそこにクルマを停めて歩いて橋を渡れるようになっています。ふたつある駐車場のうち、呼子側のそれは弁天駐車場と名付けられています。そこから階段を下りて遊歩道を辿ると、橋の下の地磯に行くことができます。この地磯が釣り場で、図のように足場はA点、B点の二か所あります。

出典:著者

加部島との間は弁天の瀬戸と呼ばれ、潮が速く、各種の魚が住んでいます。グレ、チヌをはじめ、マダイ、それにカマスやアジ、アオリイカが狙えます。もっとも、流れの速いところでは餌木がなかなか沈んでくれず、エギングではシンカーを追加するなどの工夫が欠かせません。

●男島の先端でカゴ釣り

撮影:著者
観光客用の弁天駐車場は広く、トイレもあります。対岸の駐車場は片島駐車場と呼ばれています。

弁天駐車場に着いたのは7月の夕方でした。相棒はMさん。この人は遠投カゴ釣りの名手で、数々の実績を上げています。この日はカゴ釣りを教わるつもりで同行を頼んだのです。 道具をキャリーに積んで遊歩道を辿ります。弁天島に着いたところでキャリーから道具を下ろします。ここからは磯を歩かなければならず、キャリーは使えないのです。そのため、荷物は最少限にしておいた方が賢明です。

撮影:著者
A点の釣座です。対岸は加部島で、橋脚の少し右側に片島の白灯波止があります。

潮は満潮から下げにかかったところです。男島の先端(A点)はすぐ右沖に呼子大橋の橋脚があるため、下げの右流れだと釣りづらいのです。そこで、夕方5〜6時に満潮を迎える日に釣行すると夕マズメから夜10時頃まで下げ潮を釣ることができます。 Mさんは手慣れた様子で仕掛けを作っています。カゴ釣りの場合はそれほどコマセに気を使わなくてすむので気が楽です。中身も投入点も、です。 この時期はすでにエサ盗りが活発に行動していますが、大きな魚が接近すると姿を消すはずです。
サシエが残ったりなくなったりを繰り返すうちに、小型のグレが掛かるようになりました。キープするには可哀想なサイズなのでリリースします。

日が暮れるとともにグレのアタリは途絶えました。
これからが本番だぞ!
……Mさんの力強い言葉が聞こえました。 その言葉通り、しばらくアタリが遠くなったあと、待望のアタリが出ました。 来たよ! 声をかけてMさんは竿を立て、やり取りを始めました。あまり大きくはないようです。足元の根が少し出ているためできるだけ沖で浮かせ、水面を滑らせるように足元へ引き寄せます。40㎝クラスのマダイでした。

「この辺りじゃ小型だな。宮崎では80㎝オーバーも上がっているからな」とMさん。宮崎とは加部島の南東側にある小さな岬で、その先端には赤灯波止があってマダイやアジ、グレなどの好釣り場なのです。
その後は11時頃まで粘りましたが、Mさんが同クラスを1匹追加しただけでボクにはアタリがなく、すごすごと引き下がりました。

●秋はB点でアジング

弁天駐車場から男島の先端まで歩くのは少しばかり体力を消耗しますが、もっと手前にも釣り場はあります。それが図のB点です。駐車場から近いのに加えて、ここは瀬戸に面していないため流れが緩く、その分では釣りやすいといえます。ただし、本流に引かれる潮が動くため、流れる方向は定まっていません。右や左にと流れる方向がよく変わるのです。チヌやバリはそれでも問題はなく、アジも同様です。

撮影:著者
B点の足場はよく、初心者でも安心して竿が出せます。正面に呼子ロッジ下の波止が見えます。

10月の半ば、そのB点でアジングを楽しみました。ここは橋の真下ではないため、橋に設置されている明かりが海面を照らし、夜になると各種の魚が集まってきます(夜遅くには消灯します)。アジも例外ではありません。周囲が暗くなって海面に明かりが反射する頃からが釣りタイムです。ウラトラライトクラスのロッドに1号のナイロンでキャストを開始します。
ジグヘッドは1gで、それに見合ったサイズのワームをセットしています。アジがボイルしているらしく、海面でピチャピチャという水音が聞こえます。

早々にヒットしました。残念ながら大きくはありません。15㎝を少し切るサイズです。この時期としてはこんなものでしょう。それからは入れ食いタイムです。サビキ釣りをすれば効率よく釣り上げられるのでしょうが、それでは「漁」と変わりません。その点、アジングだと魚が小さくても1匹ずつ楽しめます。その日は50匹以上釣り上げることができました。

●加部島側にも釣り場はあります

撮影:著者
加部島側にある片島の白灯波止です。左側は浅く、釣りは正面〜右側に限られますが、遠投すれば左側も釣りは可能です。

大橋下の釣り場は呼子側の地磯だけではありません。対岸・加部島側にもあります。それが片島の白灯波止というところです。加部島の海岸道路際にあり、クルマで走れば誰でもすぐわかります。駐車スペースは広く、数十台は停めることができます(そんなにたくさんの釣り人が訪れることはありませんが)。

波止は短く、竿が出せるのは先端だけで、せいぜい1、2人しか釣りはできないでしょう。前述したように弁天の瀬戸を流れる潮は速く、この釣り場も例外ではありません。本流はどんどん流れていきますから、はっきりいってポイントが絞れません。沖を釣るなら潮止まり前後が狙い目になります。 ただ、足元には小規模な反転流ができますから、下げ潮で波止の右側を釣れば小型のグレやバリ(アイゴ)が期待できます。波止の左側は浅いため、上げ潮では釣りができないのです。

●まとめ

マダイのカゴ釣りとアジングの実釣を紹介しましたが、ここでは秋にカマス釣りも楽しめます。みなさんならどんな釣りをやってみたいでしょうか? 足場が狭く、たくさんの人が楽しめないという問題はあるものの、ここはハズレが少ない釣り場です。チャンスがあればぜひ訪れてみてください。

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