ヘラブナ釣りのエサには、実にさまざまな種類があります。あらゆる条件下で安定した釣果を得るためには、それぞれのエサの特徴を理解し、的確なエサ作りをすることが肝心です。この記事では、筆者がぜひともおすすめしたい11種類のエサを取り上げ、その特徴をご紹介します。
ヘラブナ釣りのエサの種類は多岐にわたる
日本古来のゲームフィッシングであるヘラブナ釣りは、科学技術の進化と共に近年急速に進化を遂げており、エサの種類も多岐にわたります。パッケージから取り出したエサそのものは、一見するとどれも同じに見えますが、実際の特徴は非常に大きく異なっています。
確かにヘラブナ釣りは、釣りを組み立てるそれぞれの要素すべてが直下に直結しますが、エサの選び方や作り方は、その中でも最も釣果に影響を与える割合の大きい要素でしょう。
ヘラブナ釣りのおすすめのエサをご紹介!
ヘラブナ釣りのエサのブレンド方法については、釣り関連のメディアでも度々取り上げられていますが、エサそのものの特徴を詳しく解説しているメディアは、意外に少ないのが現状です。ここでは、ヘラブナ釣りのエサにおいて90%以上のシェアを誇る、大手釣りエサ、ルアーメーカー ―「マルキュー」が製造する各種ヘラブナ釣り用エサの中から、筆者おすすめの11種類のエサを用途別に3種類に分類して取り上げ、それぞれの特徴についてご紹介していきます。
ヘラブナ釣りのおすすめのエサ① 基本エサ
基本エサは、バラケエサやダンゴエサの中核となるエサであり、単体で使用したり、必要に応じて他のエサをブレンドしたりして使用します。ここでは、おすすめの5種類の基本エサそれぞれの特徴を解説します。
おすすめの基本エサ1. マルキュー – 凄麩
ブレンドを選ばない中間的な性質が魅力
さまざまな工夫が施されたバラエティーに富む麩エサが多数存在する近年にあって、このエサは、麩の基エサに求められる基本に立ち返って作られたエサです。
ブレンド時の基エサとしての使用に特化されて作られているため、ブレンドするエサの特徴を最大限引き出すことのみが追及されており、故に、すべての面において中間的な性質に仕上がっています。言い換えれば、”特筆すべき特徴がないことが特徴であり、武器である”と評価できます。フィールドやスタイルを問わず、バラケエサ、ダンゴエサ、クワセエサ全てにおいて、オールマイティーに使える基エサでしょう。
ボソタッチでバラケ性が良いが 芯残りもしっかり
このエサは、粒子の大きい麩が使われていると考えられ、単品で水を加える、ボソボソとしたタッチでバラケやすい性質になっています。とはいえ、終盤は意外なほどしっかり芯残りするため、”相反する性質の両立を実現したエサ”と評価できます。もちろん、練り込めばエサ持ちを良くさせることは可能ですので、まさに全シチュエーション対応可能な万能エサでしょう。
ただ、筆者がヘラブナ釣り初心者の頃にこのエサを使った際、ボソタッチ故に上手にエサ付けができなかった経験がありますので、初心者の場合は、まとまりの良いエサをブレンドして使うことをおすすめします。
おすすめの基本エサ2. マルキュー – ダンゴの底釣り冬
低水温期のくい渋りのヘラブナに効果絶大
冬から初春に掛けての水温が低い季節は、ヘラブナの活性が低く、エサを吸い込む力やエサに対する積極性がどうしても悪化してしまうため、低水温期は、”エサ選びに最も神経を使う季節”と言っても過言ではありません。このエサは、低水温期における底釣りの両ダンゴ釣りでの使用を主に想定して作られており、低活性のヘラブナを念頭に、底釣り用のダンゴエサとしては非常に軽くできています。
もちろん、エサ持ちについても申し分なく、水深の深い場所までエサをしっかり届け、本アタリを長時間じっくり待ち続けることが可能です。
軽さとエサ持ちをいかしたブレンドエサとしての使い方もおすすめ
このエサは、単品で水を加えて用いることはもちろん可能で、単品で水を加えて使う際の使いやすさもウリですが、このエサが持つ性質をいかしてブレンドエサとして使うのもおすすめです。
というのも、前述したとおり、底釣り用ダンゴエサとしては軽めにできているものの、ダンゴエサ全般で見ればやや重い部類に入るため、水深が深いフィールドでの宙釣りに使うエサのブレンドエサとして用いるにも適しています。また、底釣り用ダンゴエサならではのエサ持ちの良さも、ウワズリ対策に効果的でしょう。
おすすめの基本エサ3. マルキュー – バラケマッハ
バラケ性重視のエサを作りたいならコレで決まり!
このエサは、その名の通り、バラケ性の良さを前面に押し出しています。練り込んでも、バラケ性が失われにくい仕上がりになっていますので、バラケ性重視のエサ作りを目指すのであれば、ぜひともこのエサを基エサにすることをおすすめします。
バラケ性の高いエサは、集魚力が高い一方で、”ウワズリを引き起こしやすい”というデメリットがありますが、このエサは、しっかりと縦方向にバラケるため、横方向にバラケて広がったエサにヘラブナが集まることでウワズってしまう問題が起きにくいのが魅力です。
経時変化の少なさが夏の釣りで武器になる
強いバラケ性が特徴のこのエサは、経時変化の少なさも特筆すべき特徴です。
通常のエサは、作ってから時間がたつにつれて水分が失われていき、ネバリが出てきてしまいますし、時折手水を打って対応する場合でも、水をなじませる際に、やはり多少はネバリが出てしまいます。ところが、このエサは、もともと経時変化が少なく、ボソタッチでバラケやすい性質を長時間維持することが可能で、手水で対応する際の性質変化もほとんど起きません。
実際、筆者も真夏の炎天下の中釣りをしていた際、作ったエサを手水を打ちながら長時間使っているにもかかわらず、使い終わるまでウキの挙動に全く変化がなかったことに驚きました。
おすすめの基本エサ4. マルキュー – POWDER BAIT HERA
単品使用でのポテンシャルの高さが初心者にピッタリ
ヘラブナ釣り初心者の場合、まだエサに関する知識や経験が乏しく、最適なエサの見極めや、最適なエサを作り出すためのブレンド方法を的確に行うことは絶対に不可能です。このエサは、単品で水を加えて使う場合におけるポテンシャルが非常に高く、まさに初心者にピッタリのエサでしょう。さまざまな性質が中間的な仕上がりになっているため、幅広いシチュエーションで無難に使うことが可能ですし、「ダンゴエサの基本を学ぶ上でももってこいのエサ」と言えます。
また、水の量や混ぜ方を変えることで、セット釣りのバラケエサとして使うこともでき、初心者に扱いやすい、まとまりの良いバラケエサを作ることが可能です。
ブレンドで用いる場合は かさ増しなどに
前述したように、このエサは中間的な性質となっているため、ブレンドで用いると、ブレンドするエサの性質をそのままにかさ増しすることができます (ただし、かさが増えることにより、ブレンドするエサの性質は平均的に弱まる)。また、性質を変えずにかさ増しできる利点をいかし、エサを作る際に水を入れ過ぎてしまい、適切なやわらかさになるまで修復する場合に、パラパラと振りかけるエサとして筆者は使うこともあります。
おすすめの基本エサ5. マルキュー – ガッテン
高い集魚力とエサ持ちの良さとが際立つ
浅ダナの両ダンゴ釣りで用いられるエサの代表的存在であるこのエサは、高い集魚力とエサ持ちの良さとが際立つ、他のダンゴエサとは一線を画す特徴を持っています。幅広い釣りで集魚力に定評のあるサナギ粉に加え、ヘラブナ釣り用のエサとしては珍しい粉末のオキアミが入っており、「集魚力の強さはトップレベル」と評価できるでしょう。
同時に、非常にまとまりやすく、エサ持ちの良いエサに仕上げられているため、抜群の集魚力で浅ダナに大量のヘラブナが集まっても、しっかりと芯残りして本アタリを引き出せるように作られています。まさに、魚影の濃い場所においてハイテンポで展開される浅ダナの両ダンゴ釣りに最適なエサなのです。
状況に応じてブレンドすることで 幅広い状況に対応可能
大量のヘラブナを浅ダナにくぎ付けにする抜群の集魚力と、大量のヘラブナにもまれてもしっかり芯が残る点が魅力のこのエサですが、さまざまなエサをブレンドすることで、浅ダナ両ダンゴにおける幅広い状況に適切に対応することが可能です。
例えば、このエサはネバリが強めで、エサ持ちが非常に良くできているため、バラケ性が特に強いエサをブレンドすることで、本来の性質を弱めることができます。また、管理釣り場などにおいて、あまりにも大量のヘラブナが寄ってしまい、練りこんだり水の量を少なくしたりしてもエサが持たなくなった場合などに、まとまりをさらに良くするブレンドエサをブレンドする使い方も有効です。
ヘラブナ釣りのおすすめのエサ② ブレンドエサ
ブレンドエサは、単品で水を加えて使うものではなく、基エサに適量をブレンドすることで、エサに特定の性質を持たせる用途で使用します。ここでは、おすすめの3種類のブレンドエサそれぞれの特徴についてご紹介していきます。
なお、ここでは、本来の意味でのブレンドエサではない調整エサについても、”他のエサとブレンドして使うことが前提”という定義で、ブレンドエサとして取り上げます。
おすすめのブレンドエサ1. マルキュー – バラケバインダーフラッシュ
エサをバラケにくくさせるには いくつかの方法があるが…
エサをバラケにくくするためには、3つの方法があります。
1つ目は、加える水の量を減らす方法ですが、この方法だと、”出来上がったエサがボソボソで硬い状態になりやすく、まとまりの悪いエサになってしまう”というデメリットがあります。
2つ目は、エサに水を加えてかき混ぜる工程で、練り込むようにかき混ぜたり、かき混ぜる時間を長くしたりする方法ですが、この方法だと、エサに強いネバリがでてしまい、ハリからのエサの抜けが悪くなり、本アタリが出るまでに時間が掛かるようになってしまいます。
3つ目は、エサをブレンドする工程で、バラケにくい性質を持つエサをブレンドする方法ですが、この方法だと、バラケ性以外の性質はそのままに、バラケ性のみを弱くすることが可能になります。
まとまりとエサ持ちのみを向上させられる唯一無二の存在
このエサをブレンドしてエサを作ると、標準的な水の量や混ぜ方でも、バラケ性を弱め、まとまりとエサ持ちのみを飛躍的に向上させることができます。バラケ性以外の性質には、影響を与える心配はありませんので、多くのアングラーが求める要求を実現する、まさに唯一無二の存在なのです。
このエサをブレンドして作られたエサは、加えないで作った場合よりも、素材由来のネバリが若干出るものの、その差はわずかで、やわらかいながらバラケにくく、エサ持ちの良いヤワネバタッチに仕上がります。
おすすめのブレンドエサ2. マルキュー – 粒戦
バラケエサの集魚力をより一層高めるアイテム
このエサは、ヘラブナの養殖でエサとして用いられているペレットを細かい粒状にしたものであり、セット釣りのバラケエサにブレンドして使うことを想定して作られているブレンドエサです。
このエサをバラケエサにブレンドした場合、バラケエサ構成する素材の中で最も比重が重いため、エサが溶ける過程で、他の素材よりも速い速度でパラパラと沈下していきます。これは、ヘラブナの視覚にエサの存在を強烈にアピールする効果があり、ペレットエサそのものが持つ高い集魚力との相乗効果で、より効果的にヘラブナを集めて口を使わせることが可能になるのです。
このエサが先行して沈下することでウワズリ防止効果も
前述の通り、このエサをバラケエサにブレンドした場合、このエサが先行する形で沈下するため、結果的に縦方向へのバラケ量が多いエサになります。ですから、ウワズリを防止する効果が期待でき、もともとウワズリが起きやすい管理釣り場でのセット釣りにおいては、”高い集魚性とウワズリの防止”という相反する性質を両立できる、非常に強力な武器となるでしょう。
このエサよりもさらに粒が細かい、「マルキュー-粒戦細粒」というエサもありますが、これは粒が小さい分比重が軽いため、”ウワズリ防止の面では、通常タイプの粒戦の方が適している”と言えます。
おすすめのブレンドエサ3. マルキュー – マッシュポテト (徳用)
単品の麩エサやグルテンエサにはない武器が光る
ヘラブナ釣りにおけるマッシュポテトは、素材自体は、食用のマッシュポテトと同様に、ジャガイモを乾燥させた粉末状のものです。マッシュポテトエサには、粒子が大きい「フレークタイプ」と、粒子が小さい「粉末タイプ」とがあり、このエサはフレークタイプです。
単品で水を加えただけではまとまりが悪く、エサ持ちも非常に悪いため、麩エサやグルテンエサにブレンドして使う形となります。単品の麩エサやグルテンエサでは実現不可能な独特のバラケ方が、野釣りの大ベラ狙いにおいて威力を発揮するほか、ヘラブナ以外の魚の反応が悪い特徴から、ジャミが多い釣り場にも最適なエサです。
麩エサやグルテンエサがブレンドされた状態で販売されているマッシュポテトエサもありますが、自分好みのブレンドが可能な単品タイプを筆者はおすすめします。
ブレンド方法次第で使い方の幅が非常に広い
このエサは、ブレンド方法次第で、使い方の幅が非常に広いのが魅力です。
麩エサをブレンドして用いる場合は、まとまりの良いタイプの麩エサをブレンドすることで、扱いやすく、かつマッシュポテトエサならではの長所を引き出す使い方が可能ですし、バラケ性を最大限残したい場合は、粉末タイプのマッシュポテトを少量加えるのも有効でしょう。グルテンエサをブレンドして用いる場合は、マッシュポテトが持つ比重の軽さとバラケ性の強さをいかし、ダンゴエサのような使用感のエサに仕上げる使い方も、大型のヘラブナ相手には効果絶大です。
ヘラブナ釣りのおすすめのエサ③ クワセエサ
クワセエサはセット釣りにおいて、ハリ掛かりにつながる本アタリを出すためにヘラブナにくわせるエサとして使用します。ここでは、おすすめの3種類のクワセエサそれぞれの特徴を取り上げます。
おすすめのクワセエサ1. マルキュー – いもグルテン
グルテンエサは、サツマイモマッシュがブレンドされているタイプと、マッシュポテトがブレンドされているタイプとがあり、このエサは前者に該当します。サツマイモマッシュは、ヘラブナをはじめとする植物系のエサを捕食する魚の大好物ですので、低活性時でもくいが立ちやすいエサでしょう。
ぜひとも単品で水と混ぜて使いたいエサで、数あるグルテンエサの中で最も比重が重く、野釣りの底釣りにはもってこいです。特に、湖などの水深が深いフィールドでは、比重の重さや中間的なバラケ性が大いにいきます。長きにわたって販売され続けており、根強い人気を誇っている点が、”確かな実績のあかし”と言えます。
おすすめのクワセエサ2. マルキュー – 感嘆II
インスタントウドンエサであるこのエサは、標準の「マルキュー-感嘆」よりも比重が重いタイプです。釣り場で作れるインスタントタイプのウドンエサであり、タピオカウドンのように、釣行前に鍋や電子レンジで作る手間は掛かりませんし、わらびウドンよりもローコストなのも魅力的です。比重が重くできているため、速いスピードで沈下してほしい場面に最適でしょう。また、視認性が高い黄色に着色されており、くわせるプロセスがルアー的な要素が強いウドンエサにおいて、視覚的なアピール力の高さも特徴です。
おすすめのクワセエサ3. マルキュー – ヒゲトロ
サワるようなヘラウキの動きはあるものの、ハリ掛かりにつながる本アタリがなかなか出にくい状況下でぜひとも使いたいのがトロロエサです。
トロロエサは、ヘラブナの主食である植物繊維そのものをハリ付けすることによって、最初のアタリからハリ掛かりが期待できるエサであり、サワリが起きながら徐々に溶け、最後に残った部分で本アタリを狙う練りエサとは対照的です。そのため、まとまった数のヘラブナがある程度寄っていれば、アタリが今一つ決まらない場面で、キッチリとハリ掛かりにつながる本アタリを引き出すことができ、シビアコンディション時に強い味方になってくれます。
ベストなエサのチョイスで釣果に差をつけよう!
ヘラブナ釣りは、数ある釣りの中で最もエサの種類が多いため、どのエサを使えば良いのか迷ってしまう方も多いでしょう。とはいえ、どれ一つとして同じ性質のエサはなく、それぞれ特徴に差がありますので、それぞれ特徴を理解し、その時のコンディションに合ったエサ作りができるかどうかが、好釣果のカギを握っています。
皆さんも、ベストなエサのチョイスで、他のアングラーに釣果で差をつけましょう。