投げ釣りは、ターゲット次第で一年中楽しむことができる釣り方ですが、冬の投げ釣りには、他の季節にはない魅力がたくさんあります。この記事では、冬の投げ釣りならではの魅力や注意点と共に、各種おすすめアイテムについても徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
冬の投げ釣りの魅力は?
投げ釣りに限らず、冬の釣りは肉体的に辛い部分があるため、敬遠する人が多いのは事実ですが、冬の投げ釣りにしかないさまざまな魅力を知ればきっと、冬でも海に出掛けてみたくなることでしょう。
ここでは、冬の投げ釣りの3つの魅力をご紹介します。なお、この記事では、12月から3月までを”冬”と定義しています。
冬の投げ釣りの魅力① 低水温を好むターゲットが狙いやすくなる
魚には、生息に適するとされる適水温が必ずあり、その範囲外の水温の環境だと、活性が著しく低下してしまったり、適水温の場所を求めて移動してしまったりします。当然、水温が下がる冬の季節になると、低水温を好むターゲットが狙いやすくなります。
もちろん、季節を問わず一年中狙えるターゲットもいますが、適水温が低いターゲットは、やはり冬の方が釣果が伸びやすくなり、難易度もグッと下がります。夏の投げ釣りでは大型のターゲットが狙いにくい東北や北海道では特に、大型のカレイや根魚が狙える冬の方が、投げ釣りが盛んになる季節となるでしょう。なお、冬の投げ釣りにおすすめのターゲットの詳細は後述します。
冬の投げ釣りの魅力② エサ取りが少なくなる
海釣りで最もやっかいなのが、本命のターゲットではないのにエサを横取りする”エサ取り”の存在です。投げ釣りは、幅広い魚が好むエサを使うことが多いため、特にエサ取りの猛攻を受けやすい釣り方です。一定時間仕掛けを一ヵ所で静止させてアタリを待つスタイルの釣り方の場合は特に深刻で、夏真っ盛りの季節にもなると、本命がエサに気付く前に、エサ取りにすべて食べ尽くされてしまうような状況も珍しくありません。
ところが、水温が低くなる冬は、エサ取りの代表的存在であるフグやベラ類の活性が下がるため、エサ取りに苦しめられることがほとんどなくなります。イワイソメなどの、集魚力が高いエサを用いる場合は特に、この恩恵を大いに受けることができます。
冬の投げ釣りの魅力③ 釣り人が少なくなる
前述したように、冬の釣りは寒さとの戦いであり、肉体的に辛い部分があるのは事実です。時には、手がかじかんでしまい、ハリへのエサ付けや仕掛け作りが思うようにできなくなることもあります。そのため、気温が温かい季節と比べると、釣り人の数は半分以下に減ります。投げ釣りの場合は、ターゲットが大型化したりポイントが遠距離になったりするため、チョイ投げセットのような初心者向けタックルセットで気軽に楽しむことができなくなることも、釣り人が減る要因のひとつでしょう。
当然、釣り人が少なくなれば、釣果実績の高い釣り場に陣取ることができる確率は格段に上がります。また、釣り人が減る分、自分がターゲットを仕留められる確率も相対的に上がるため、このメリットは非常に魅力的です。
冬の投げ釣りにおすすめのターゲットは?
冬の投げ釣りのメインターゲットは、”底性魚”と呼ばれる、海底付近で生活する魚が中心となります。
ここでは、冬の投げ釣りで狙うターゲットとしてぜひともおすすめしたい3種類の魚をご紹介していきます。
冬の投げ釣りのおすすめターゲット① カレイ類
カレイは、冬の投げ釣りの代表的なターゲットのひとつです。カレイは一般的な魚と異なり、真冬の厳冬期に産卵をするため、秋以降、水温が17℃を下回るようになると、厳冬期の産卵に向けて荒食いをします。この時期に狙えるカレイは、肉厚で重いものが多く、釣りごたえは抜群に良い反面、卵が大きくなると食味が落ちるのも事実です。産卵が行われる超低水温期は、釣果が著しく悪化しますが、その後は春に向かって、水温の上昇と共に産卵後の体力回復のため、また活発にエサをくうようになります。ベストシーズン終盤のカレイは最も食味が良く、この時期のカレイのみを持ち帰ってキープする釣り人も少なくありません。
マコガレイとイシガレイとは、地域を問わず狙うことができるカレイで、水温が10℃未満まで下がる地域では、ナメタガレイ、クロガシラガレイ、ソウハチガレイなどもターゲットとなります。
冬の投げ釣りのおすすめターゲット② 根魚類
アイナメやクロソイをはじめとする根魚類も、前述のカレイと並ぶ、冬の投げ釣りの人気ターゲットです。水温が17℃を下回っていれば、シーズン中は比較的安定した釣果が望めます。水温が10℃未満まで下がると、アイナメやクロソイのように、広い地域に生息している根魚類の多くは、活動が鈍くなり、北海道や東北北部に生息するホッケやカジカ類などの活性は上がります。
冬の根魚類の食味は最高で、特に刺身や鍋は絶品です。アイナメやエゾイソアイナメについては、水温が温かい時期でもポイント選定次第では、比較的狙いやすい魚とされていますが、水温の下がる冬の方がやはり型が大きく、1回の釣行で食用サイズが5匹以上釣れることもあります。
冬の投げ釣りのおすすめターゲット③ アナゴ類
アナゴ類狙いの投げ釣りは、”夏の夜釣り”というイメージが強く、釣り関連のメディアでも、夜の堤防や港湾岸壁にアナゴ狙いの釣り人の竿が並ぶ様子を、夏の海の風物詩として取り上げています。ところが実際には、特定の条件下であれば、冬でもアナゴを投げ釣りで狙うことは可能です。冬のアナゴは大型で太く、釣り味も食味も、夏とは比べ物になりません。釣り人も少ないため、扇形に広く竿を出すことができる点も魅力ですので、ぜひ狙ってみたいものです。
冬でもアナゴが狙える条件として、ポイントの水深が8m以上あることが挙げられます。釣り初心者だと、自分が釣りをしているポイントの水深を知らない場合が多いですが、釣具店で聞けば教えてくれますので、必ず確認するようにしましょう。
冬の投げ釣りでの注意点は?
魅力満点の冬の投げ釣りですが、夏の投げ釣りとは異なる注意点もあります。
ここでは、冬の投げ釣りにおける2つの注意点を解説します。
冬の投げ釣りでの注意点① 寒さ対策を万全にする
冬の釣りで最も注意しなければならないのが、寒さ対策です。堤防や港湾岸壁は、風を遮るものが周囲に全くない場所が多く、冷たい風にさらされると、体感温度はグングン下がります。ですので、通常の陸地にいる時よりもさらに万全な寒さ対策が不可欠です。
冬の釣りにおいて最もやっかいなのが、手がかじかんでしまうことです。手がかじかんでしまうと、ハリにエサを付けたり仕掛けを作ったりすることが難しくなるため、手の防寒は重要でしょう。ただ、手全体をすっぽりと覆う通常の手袋では、エサ付けの際に汚れてしまいますし、仕掛け作りにおいて重要な繊細な指さばきも困難です。そのため、指が半分だけ隠れるタイプの手袋が重宝されます。
冬の投げ釣りでの注意点② チョイ投げ釣り用タックルは避ける
夏の投げ釣りは、小型のターゲットも多いため、チョイ投げ釣りのように手軽なタックルセッティングでも楽しむことができますが、冬の投げ釣りはわけが違います。冬の投げ釣りで狙うターゲットは大型のものが多いですので、チョイ投げ釣り用タックルでは、取り込みに不安が残りますし、仕掛けのパワーセッティングから判断しても、チョイ投げ釣り用タックルは不適合です。また、一年中狙えるタイプのターゲットであっても、水温の高い季節と比較すると、ポイントがより遠距離になる傾向があるため、仕掛けの投射能力に劣るチョイ投げ釣り用タックルは不向きなのです。
冬の投げ釣りにおいては、ターゲットのアベレージサイズが小さい場合でも、本格的な投げ釣り用のタックルを選択しておくのが無難でしょう。
冬の投げ釣りのおすすめのアイテムをご紹介!
冬の投げ釣りを快適に楽しむためには、寒さ対策用のさまざまなアイテムが必要になってきます。
ここでは、冬の投げ釣りにおすすめの3つのアイテムを取り上げていきます。
冬の投げ釣りのおすすめのアイテム① 防寒ウェア
大手タックルメーカーである「グローブライド」が製造する、「ダイワ」ブランドの上下セットタイプの防寒ウェアです。WM~4XLの11種類の幅広いサイズラインナップで、あらゆる体形の人に対応しています。生地には、アメリカのW.L. Gore & Associates社が開発した高性能素材である「ゴアテックス」が用いられています。ゴアテックスは、高い防水性をそのままに、発汗によるムレは外部へ放出する”透湿防水”を高レベルで実現する素材であり、風を遮って熱を逃がさないことはもとより、雪が降る状況下においても真価を発揮します。
なお、パンツのサスペンダーは取り外し可能になっており、パンツ単体で使用することができるのもうれしいポイントです。
冬の投げ釣りのおすすめのアイテム② フィッシンググローブ
グローブライドのダイワブランドのフィッシンググローブです。フィッシンググローブの多くは、夏の使用を想定し、通気性を重視したものが多く、冬の釣りにおいて重要な保温性が考えられていないのが難点です。この製品は、防風性が重視された設計になっており、冬の冷たい風で手の熱が奪われてしまうのをしっかり防止してくれます。
また、すべての指が半分隠れるタイプではなく、エサ付けや仕掛け作りにおいて最低必要な親指、人差し指、中指のみが半分隠れるタイプのフィッシンググローブですので、外気に触れる指を最小限に抑えることが可能になっています。
冬の投げ釣りのおすすめのアイテム③ アウトドアヒーター
OD缶のガス缶を使用するアウトドアヒーターです。屋外での使用に対応した設計となっており、最大火力状態でも約4時間使える点が魅力です。電子着火装置が組み込まれており、ワンタッチで着火が可能で、暖を取るには最適なアイテムでしょう。たき火のように空気全体を温めることはできませんが、アタリを待っている間ジッとしているときに手を温めておけば、かじかむ心配がありません。
なお、気温10℃の寒い場所だと、なかなか着火しなかったり火力が弱かったりしますので、缶を手で包んで温めてから使うようにしたり、ハイパワータイプのガス缶を使うようにしたりすることをおすすめします。
冬の投げ釣りをエンジョイ!
寒い季節ならではの良さが詰まった冬の投げ釣りは、いくつかの点に気を付ければ、釣り初心者でも気軽に楽しむことができます。この記事をお読みの皆さんもぜひ、魅力いっぱいの冬の投げ釣りをエンジョイしてみませんか。