編集部注:本稿タイトルにクロダイに関して一般的ではない表現(海の女王)がありましたので訂正の上掲載しております

堤防での釣り方は限られます。ウキ釣りミャク釣りサビキ釣り投げ釣りルアー釣りがそれで、おおむね、魚によって釣り方は決まっています。
シロギスやカレイは投げ釣り、小アジ、サバはサビキ釣り、グレ、メバルはウキ釣りというのがパターンです。

では、先輩たちはクロダイを仕留めるのにどんな釣り方をしていると思いますか? 興味はあるけれどこれまでクロダイ釣りに触れたことのない人は、大半がウキ釣りを連想すると思います。それほど、ウキ釣りは釣りの代表として広く知られています。

しかし、実際は、この10〜20年でクロダイの釣り方は大きく拡大しました。では、どんな釣り方があるのか見てみましょう。

このシリーズをはじめから一気読み>>釣りたい魚はクロダイ!最適な時期と釣り場は?

●クロダイは好奇心が強く、なんでも食べる

クロダイという魚はかなり特異性があります。非常に好奇心が強く、気性が激しく、そして悪食という点です。まずはそのことから説明しましょう。

①好奇心が強い

コマセを撒くとその水音に驚いて、多くの魚はその場から逃げ出します(エサの匂いに誘われていずれは戻ってくるのですが)。
クロダイの場合、一瞬驚きはしますが、その音の正体を確かめるためすぐコマセに近寄ってきます。上からなにかが沈んできたら興味を引かれて接近します。それほど好奇心が強い魚なのです。

②気性が激しい

コマセが沈んでくるとたくさんの魚が集まってきます。大半の魚は我先にとエサを追うのに、クロダイは周囲の魚を追い払います。そして、自分だけでゆっくりエサを食べようとします。
コマセの集まっていたエサ盗りが突然消えることがあります。それまですぐなくなっていたサシエが残るようになるのです。そのとき、クロダイが接近している可能性が高いのです。小魚たちはクロダイを怖れてその場から姿を消すといわれています。

③悪食

クロダイのエサは非常に多岐に渡ります。
よく使われるオキアミやムシエサ以外にもカニやシャコ、エビ、生サナギ、イカ、貝類、フナムシ、さらにはミカン、スイカ、ムギ、魚の切り身、海藻とおよそなんでも食べます。それだけクロダイの行動範囲は広いのです。

●攻めの釣りと待ちの釣り

攻めと待ち。聞いたことはあると思います。攻めとは自分が能動的に動いて攻撃を仕掛けるという意味です。一方、待ちとは、相手が攻めてくるのを待って仕掛けることを指します。 これを釣りに当てはめると次のようになります。

仕掛けを移動させて魚の居場所を探っていくのが攻めの釣りです。
ウキ釣りはまさにそれです。潮に乗せてどんどん流していくからです。対して、投げ釣りではエサを海底に静止させて魚が回ってくるのを待ちます。数メートル単位で引きずってはアタリを待つことを繰り返しますが、基本的に待ちの釣りであるのは間違いありません。
このように考えれば、ルアー釣りやミャク釣りは攻めの釣りといっていいでしょう。ヘチ釣りもそうです。待ちの釣りとしては、投げ釣り以外にカセ釣りがあります。

以下、簡単にそれぞれの釣りを紹介しましょう。

ウキ釣りはコマセが必要です

ウキが沈む瞬間を肉眼でとらえ、さらに細いラインと軟らかい竿でやり取りするウキ釣りは
クロダイ釣りの醍醐味を味わうことができます。最も人気があるのはうなずけると思います。

皆さんがよくご存じのウキ釣りはコマセでクロダイを集め、コマセが効いていると思われる地点に仕掛けを流します。コマセは潮に乗って流れますから、同じ流れに仕掛けを乗せるのです。細い仕掛けと軟らかい竿を使えますから、クロダイの引きを存分に味わえます。
いうまでもなく、クロダイのアタリはウキに表れます。ウキが沈み、見えなくなるまで待ってアワせればほぼ確実にハリ掛かりします。

この釣り方で難しいのは潮の読みとポイントの選定です。コマセが効けばクロダイはどこでもやって来ます(限度はあります)が、集まりやすい場所・集まりづらい場所があり、それによって釣果は変わります。

ヘチ釣り

堤防の壁に沿ってサシエを落とし、自然のエサを食べにきているクロダイに食べさせる釣り方です。
ヘチとは沖の対語で、堤防の際を意味します。西日本では落とし込み釣りと呼ばれていますが、船釣りではサビキで釣り上げた魚をそのまま深場に送り込んで大物を狙うのも落とし込み釣りというため、混乱を避けるためここではヘチ釣りで統一します。

足元を釣るのに都合がいいから、竿は2〜3メートルの短いものを使います。
そして、カニやカラスガイ、フジツボなど堤防の壁でよく見られる生物をエサにします。カニは販売されていますが、カラスガイやフジツボは自分で採取しなければなりません。といっても、干潮時なら簡単に採れますから、はっきりいってエサ代は不要です。ウキ釣りではコマセ代、サシエ代にそれなりの経費が必要で、その分が不要なのですからヘチ釣りはずいぶん安上がりな釣りといえます。

ただし、クロダイがどこにいるかは分かりません。そこで、クロダイの居場所を求めて歩き回ることになります。

カセ釣り

カセ釣りの本格シーズンは真夏です。ウキ釣りではエサ盗りが大量に湧いて釣りができない時期
ですが、カセ釣りではサシエをダンゴでくるんで海底まで落とすため、クロダイの口もとまで
サシエを送り届けることができます。短い竿でやり取りするとクロダイの引きを
間近に感じ取れるというメリットもあります。

カセとは小船のことですが、クロダイのカセ釣りというと小船や筏からダンゴを沈める釣り方を指します。
オカラや米ヌカをメインとしたダンゴでサシエをくるみ、海底に沈めます。これは、エサ盗りからサシエを守るのとコマセの役目を兼ねています。

一般に、筏やカセはフラットな砂底に固定しますから、自然の状態でクロダイが集まる可能性は少ないはずです。そこで、ダンゴ状態のコマセを海底に効かせてクロダイを集めなければなりません。コマセが効くまで時間がかかりますから、多くの場合、カセ釣りでクロダイが集まってくるのは午後からと思っていいでしょう(前日に釣り人がダンゴを投入していた場合は別ですが)。

この釣りの難しさはダンゴの握り加減にあります。軟らかすぎると沈む途中で割れてサシエが露出し、エサ盗りに食べられてしまいます。だからといって、硬く握るといつまで経ってもダンゴが割れず、釣りが続けられません。海底に着いて5秒程度で割れるのが理想的です。

飛び出したサシエをクロダイが食べると竿先にアタリが出ます。カセの上でも扱いやすいように、竿は1.5〜2.5メートルの短いものを使いますから、アタリもすぐ目の前で表れます。ウキ釣りと同様、たっぷり送り込んでアワせるようにします。

まとめ

ヒレを精一杯開いて抵抗するクロダイの姿は美しく、堤防にいる釣り人たちの注目の的となるのは間違いありません。それを釣り上げたあなたはいうまでもなくヒーローです。

何通りもあるクロダイの釣り方の中から、ウキ釣りとヘチ釣り、カセ釣りを簡単に紹介しました。

ミャク釣り、投げ釣り、ルアー釣りについては分かりやすいため説明は省いています。また、ウキ釣り、ヘチ釣り、カセ釣りには繊細さという共通要素があります。細かい操作が要求され、微細なアタリに対して反応しなければなりません。そういう意味ではいかにも日本人好みの釣りといえるかもしれません。 そして、繊細な釣りの結果として見事な魚を釣り上げる。それがクロダイ釣りの魅力といえます。

次の記事はこちら>>一年中釣れるクロダイを釣ろう!メジャーなウキ釣りをご紹介