釣りは魚と人間の知恵比べです。人間はハリを付けたエサを流してそれを食わせようとします。魚は警戒心を抱きつつもエサの魅力に負けてハリに飛びきます。

ハリに掛かった魚を取り込むことができれば人間の勝ちです。
しかし、時には魚にもてあそばれることもあります。姿は見えるのにエサを食べようとしない。アミエビは追うのにサビキバリには見向きもしない。そんなこともあります。

そんなとき、あなたならどうしますか? ただ悔しがるだけなら知恵比べに負けたことになります。ここでは、そんな状況を攻略するためのいくつかのヒントを紹介しておきましょう。ひとつでもふたつでも覚えておけば、きっと役に立つと思います。

このシリーズをはじめから一気読み>>「脱!無趣味人間…60代から始める魚釣り」

●アジが釣れない理由とは

(撮影:筆者) 足元の水深があれば、浅ダナから深ダナまで探らなくてはなりません。それだけ大変ですが、どこかにアジがいると思えば苦にはならないでしょう。

アジは回遊魚です。その意味は、一定の場所にとどまることはなく、常に移動しているということです。

しかも、アジは群れで移動しますから、目の前から移動してしまうとまったくアタリがなくなってしまいます。また、水温が下がったり潮が止まったりするとアジは食欲が落ちてアジが底近くに潜ってしまう場合もあります。目の前にいるとしても、泳ぎ回るタナ(遊泳層)はどんどん変わっていきます。アミエビの匂いで食欲が旺盛になれば浅くなる可能性も十分あるのです。

反対に、小魚をエサとするフィッシュイーター(ブリやスズキのように魚を食べる魚)が近づいてくると、小アジは脅威を感じて物陰に潜んでしまいます。いくらアミエビを撒いても出てきません。
そのような場合、釣れないのはあなたひとりだけではありません。周囲にほかの釣り人がいれば、その人たちもまったく釣れないはずです。

●時間と潮と天候

(撮影:筆者) 早朝や夕方で条件がよければアジは水面まで浮上してプランクトンを追います。こんなときは超浅場でヒットします。

アジを含めて、魚の動きは時間と潮と天候に大きく左右されています。
早朝や夕方が魚の食欲が高まる時間帯です。また、ドピーカンの好天よりは曇りの方が魚は活発になります。
そして、干潮よりは満潮前後の方が魚は動きがよく、さらに潮が止まっているよりは流れている方を魚は好みます。

釣りに行く日を決めるとき、よく釣れる条件を選ぶわけにはいきません。魚の都合よりも自分の都合が優先するのは当たり前です。休日で、ほかに用事がない日。ほとんどの人はそれが釣りに行く日です。早朝のみ唯一選択できますが、天気や潮は選ぶことができません。

ではどうするか? 潮が引いて魚の動きが悪くなったら、一番いいのは潮が満ちてくるのを待つことです。が、のんびりと待つのが嫌な人もいます。

そんな人にお勧めしたいのは場所を替えることです。場所を替えれば必ず釣れるとは限りません。でも、ほかの場所では釣れていることもありますし、そこがどんなところかが分かれば今後の参考になる場合もあるでしょう。

それまで曇っていた空が晴れて釣れなくなったときは、物陰を探ってみてください。足元にちょっとした日影があればそこが狙い目です。

●浅く探るか深く探るか

(撮影:筆者) アジのタナは一定していません。そこで、釣れるときは集中して釣り上げなければなりません。アジが釣れたらすぐに次の獲物を釣るべく、ハリに掛かったアジは手近なバケツに入れておきましょう。

足元に小アジがいるのにヒットしない場合は、タナの問題が大きな原因といえます。小アジのタナとサビキ仕掛けのタナが一致していないということです。
小アジは底近くにいるのにサビキ仕掛けが表層にあれば、どんなにアミエビを撒いても小アジは釣れません。その逆も同様です。

そこで、アタリがない、アタリが止まったときはサビキ仕掛けを深くしたり浅くしたりしてみてください。
このとき注意してほしいのは、アジの姿が見えるほど浅場を泳いでいるからといって浅ダナにこだわらないことです。
もちろん、何度かは浅場を探ってみてもいいでしょう。しかし、それでアタリかないときは中層〜深ダナも試してみるべきです。

一般に、魚は浅ダナを泳ぐのは嫌います。大きな魚が接近したとき隠れる場所が近くになく、鳥の脅威もあります。そのため、水面近くを泳ぐときは警戒心を最大限に発揮しています。簡単にはサビキバリには食いついてくれません。

その点、中層〜底層を泳いでる場合はそれほど警戒心を抱いていません。比較的食いついてきやすいのです。アジが表層に見えるからといってそこにしかいないわけではないのです。

●広い範囲のタナを探るには

標準的なサビキ仕掛けの長さは1.2m前後です。したがって、仕掛けを上下しなくてもその範囲のタナはカバーできます。しかし、それでアタリが出なければ浅くする、または深くしないといけないのは前に述べた通りです。

では、仕掛けの長さが2.4mだったらどうでしょう? 仕掛けを動かさなくてもそれだけの範囲を探れるのですから、これが有利なことは誰でも分かります。

仕掛けを2.4mにするのは簡単です。仕掛けをふたつつなげばいいのです。その代わり、扱いにくさも倍増します。これまで何度も触れてきたように、ハリの数が多いと絡みやすくなるからです。そのため、本来はベテラン向きの対処法なのですが、こういうやり方もあるということを知ってほしくて紹介しました。ハリ数が二倍になっても仕掛けを絡ませない自信があるならぜひ挑戦してみてください。

●まとめ

魚の脳は人間に比べるとはるかに小さく、学習能力や知識、記憶力も比べものにならないほど劣っています。それなのに、魚のことをよく知らないままで対決しようとするとしばしば期待を裏切られます。
そんなとき、知恵比べに勝つためにさまざまな手立てを考えるものですが、それを釣り人は「引き出しの中身」と呼んでいます。
いうまでもなく、それは多ければ多いほど知恵比べに勝てる確率が高くなります。
ここで紹介したいくつかの方法は確実にあなたの「引き出しの中身」となるでしょう。

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