シーバスゲームは、最も身近なルアーフィッシングのひとつですが、好釣果を得ることは難しく、頻繁に釣行しても年間一桁の匹数しか手にできないアングラーも珍しくはありません。この記事では、そんな悩めるアングラー向けに、シーバスゲームの釣果アップの秘訣を徹底解説します。

シーバスゲームで安定した釣果を得るのはかなり難しい

シーバスゲームは、ソルトウォーターゲームの代表的な存在であり、手軽ながらメートルクラスの魚が狙える人気のルアーフィッシングです。とはいえ、安定した釣果を得ることは非常に難しく、実際、筆者もビギナーの頃は、”週1回以上釣行したにもかかわらず、その年ゲットできたシーバスは、わずか2匹だった”という苦い経験をしています。

というのも、シーバスゲームは手軽で人気な故に人口が多く、魚がルアーを頻繁に目にしているために、スレて狡猾 (こうかつ)になっているのです。また、シーバスという魚自体がとても気まぐれな性格であり、確実にバイトにつながる状態が出来上がってもルアーをスルーしたり、最初はルアーを通しても全く反応がなかったのに、15分経過して同様のルアー、ポイント、トレース方法で通したらバイトしてきたりするケースが度々あります。加えて、個体によって性質が大きく異なっており、そのポイントにいる個体に対してアプローチ方法がマッチしていないと、バイトにつながらなくなってしまう点も、「好釣果を得るのを難しくしている要因」と言えるでしょう。

シーバスゲームの釣果アップの秘訣をご紹介!

確かに、シーバスゲームで好釣果を得るのは、簡単なことではありませんが、釣果アップにつながる秘訣を学んで適用すれば、経験が浅くても、ある程度納得のいく釣果を得ることは十分に可能です。ここでは、シーバスゲームにおいて釣果アップにつながる3つの秘訣をご紹介していきます。

シーバスゲームの釣果アップの秘訣1. 個体のタイプを理解する

スズキ シーバス
出典: 写真AC

フィールドにいるシーバスには、個体ごとにタイプがあり、それぞれ行動パターンが異なっています。釣果を向上させるためには、その時点でどのタイプの個体の数が最も多いのかを見極めたうえで、どのタイプの個体を狙うのかをハッキリと決め、そこに狙いを絞ってベストなアプローチをすることが重要です。ここでは、シーバスの3つのタイプの個体それぞれの特徴と狙い方とを見ていきます。

シーバスのタイプ1. 活発に泳ぎ回ってベイトを捕食している個体

ベイトを探して活発に泳ぎ回り、積極的に捕食活動を行っている個体は活性が高く、動きの速いベイトに対して機敏に反応しますこのタイプの個体は最も狙いやすく、ヒットルアーの範囲も広いのが特徴です。リアクションバイトと捕食本能によるバイト双方が発生しますので、いつバイトが起きてもおかしくない状況でしょう。
特に、ベイトを追って海から川に入ってきている個体の場合は、より一層活性が高く、目の前を動くものは何でも口にするほど興奮していることも珍しくありません。

反面、アピール力が低いルアーに対しては見向きもしなくなるため、アピール力重視のカラー選択や派手なアクションを心掛ける必要があります
また、移動スピードが速いため、”フッキングには至らないバイトがあった場合に、もう一度同じポイントへキャストしても、バイトした個体はすでに遠くに離れてしまっている”ということがあり、捕食活動の主戦場となっているエリア (ボイルが頻繁に起こるなど)か、魚の通り道になっているエリアをピンポイントで集中的に攻める方法が効果的でしょう。

シーバスのタイプ2. ゆっくりと泳ぎながら手頃なベイトを捕食している個体

極端な高活性時と極端な低活性時を除き、最も多いタイプが、ゆっくりとしたスピードで泳ぎながら、近距離にいる捕食しやすいベイトを拾いぐいしている個体です。マズメ時や潮が動いている時など、一日の中で周期的に訪れる、活性が上がるタイミング以外は基本的に、「このタイプの個体が最もたくさんフィールドにおり、ゲットできる確率が高い」と言えるでしょう。

傾向としては、リアクションバイトの割合が高くなるものの、コンディションにピッタリと合ったルアーであれば、捕食本能によるバイトも発生します。

ただ、中程度の活性とはいえ、ベイトの捕食への意欲が具体的にどれほどのものなのかによって、ルアーにきちんとアタックしてくるかどうかは変わってきます。適切なアプローチを実行していれば、爆釣状態に持っていくことも可能でしょう。この後、活性がどんどん上がってくることが予想されるケースでは、先を見越して、魚の通り道となるエリアで先着の個体を待つ方法もあります。
逆に、時間を追うごとに活性が下がってくることが予想されるケースでは、後述する低活性の個体向けの狙い方にシフトした方が良い場合もあり、これらの判断がアングラーの腕の見せ所です。

シーバスのタイプ3. ほとんどベイトを捕食せずに休んでいる個体

最も活性が低いタイプがこの個体であり、ベイトの捕食活動はほとんど行わず、ほとんど動かずに特定の場所で休んでいます。産卵期や、バチ抜け終了から高水温期まで過渡期などは、この個体が占める割合が増加するため、好釣果を得ることが非常に難しくなります。

このタイプの個体は、消波ブロックや流木などのストラクチャーにピッタリと張付いて、ほとんど動かない場合が多く、極端な低活性ともなると、目の前を通ったベイトすらもスルーしてしまうほどやる気がなくなっているケースもあります。このコンディションでは爆釣は期待できず、ネチネチと攻めてバイトを丁寧に引き出すアプローチスタイルを強いられるでしょう。

バイトもリアクションバイトがほとんどを占めますが、根掛かりを恐れずに、ストラクチャー周りをゆっくりとした動きで攻めたり、ソフトルアーなどの、ナチュラルアピールのルアーを用いたりすれば、限定的ながら、捕食本能によるバイトを誘発することも不可能ではありません

いずれにしても、シーバスゲーム入門者にとっては、最も難しいコンディションであることは間違いなく、少しでも反応の良い個体に出会えるように、魚が集まりやすい、魚影が濃い釣り場を選ぶことが大切になってきます。

シーバスゲームの釣果アップの秘訣2. ベストなポイント選択

シーバスをはじめとするフィッシュイーターは基本的に、フィールドに等間隔にいるのではなく、その時の活性に合った場所に集中的に集まります。そのため、単純にキャスト地点を等間隔に移動して探っていくのではなく、魚がいる確率が高い場所のみにピンポイントで集中的にルアーを通せば、おのずと好釣果を得られる確率も上がるのです。
ここでは、シーバスゲームにおける狙い目の3種類のポイントを取り上げます。

※ 注意

この記事では、淡水の水流だけでなく、海水の水流である”潮流”についても、「水流」という言葉で記述しています。

狙い目のポイント1. 水流の変化が起こる場所

水中における食物連鎖ピラミッドは、植物プランクトンを動物プランクトンが、その動物プランクトンを小魚が、その小魚を小・中型のフィッシュイーターが、小・中型のフィッシュイーターを大型のフィッシュイーターが、それぞれ捕食することによって形成されます。つまり、「食物連鎖ピラミッドの底辺に位置するプランクトン類が集まりやすい場所こそが食物連鎖の舞台であり、シーバスも集まりやすい」と言えます。

プランクトン類は非常に小さく、水流によって流されることで水中を移動していますので、水流が変化する場所は、必然的にプランクトン類が集まりやすく、ベイトを積極に探し回っている高活性のシーバスが集まってくるのです。

水流の変化は、底の地形の変化によって起こるものが最も多く、代表的な例では、「ブレイクポイント」(「カケアガリ」や「ドロップポイント」とも)と呼ばれる、水深が急激に深くなる場所が挙げられるでしょう。ブレイクポイントと呼べるような底の地形変化に乏しいフィールドであっても、局所的なクボミである「ヨブ」があれば、限定的ながら水流の変化があります。

また、湾処 (ワンド)になっている場所や淵は、水流がゆるやかになるため、水中に含まれるプランクトン類の濃度が高くなりやすいですし、川の合流点や河口部も重点的に狙いたいポイントです。加えて、橋脚のような水中の構造物や大きな流木の周りも、そこに水が当たることで複雑な水流が発生するため、狙い目のポイントとなります。

狙い目のポイント2. ストラクチャー周り

消波ブロック テトラポッド 川
出典: 写真AC

前述したように、ほとんどベイトを捕食せずにジッとしている低活性の個体は、橋脚、岩、流木などのストラクチャーの周囲で休んでいることがほとんどです。そのため、「シーバスの活性が低い」と感じたら、オープンウォーターのポイントは無視し、ストラクチャー周りのみを徹底的に根気強く攻めるのが、好釣果への近道でしょう。

前述したように、ストラクチャーは、単なる”休み場”という要素以外に、水流の変化が起きるポイントであるなど、シーバスが高確率で集まる様々な要素が詰まった「コンディションを問わず、ほぼ必ず何らかのタイプのシーバスがいるポイント」と評価できます。

また、堤防や港湾岸壁のような距離の長いストラクチャーの場合は、一種の導線のように魚の通り道にもなります。こういった場所からアプローチするアングラーの多くは、沖にキャストしがちですが、”アングラーが立っている堤防や港湾岸壁そのものがストラクチャーである”ということをいつも意識し、釣り人が減って静かになったタイミングで、際沿いにルアーをトレースしてみると、思わぬ大型がルアーにアタックしてくるかもしれません。

狙い目のポイント3. 周囲との明るさの違いがある場所

光が一切ささず影になる場所は、昼間の時間帯にシーバスが身を潜めて休むのにうってつけの場所であり、狙い目のポイントのひとつです。特に産卵期は、影ができる場所を非常に好むようになるため、太陽の向きに関係なく常時日光が当たらず、且つ水深の深いポイントを探して攻めるのが効果的でしょう。
また、ベイトもフィッシュイーターに見つからないよう、影になる場所に隠れることも多いため、活性が十分に上がっている個体であっても、このベイトを捕食するために立ち寄るポイントです

一方、ナイトゲームにおいては、常夜灯があるポイントが非常に有効です。というのも、プランクトン類は、光に集まってくる習性があり、夜の闇の中でピンポイントで水面を明るく照らす常夜灯の周辺は、まさに日没後の食物連鎖のメインステージなのです。

なお、周囲との明るさの違いがあるポイントを狙う際には、明暗差を十分に生かしたコースをトレースすることが、釣果アップの秘訣です。例えば、影のポイントの場合は、暗いエリアに着水させ、明るいエリアに向かってルアーを泳がせることによって、影の方向からルアーを見た際の高いアピール力をいかす狙い方が有効です。

また、常夜灯のポイントの場合は、暗いエリアに着水させ、明るいエリアをゆっくり通して、再び暗いエリアに速めのスピードで入る通し方によって、シーバスの存在に気づいて慌てて逃げるベイトを演出するテクニックもあります。

シーバスゲームの釣果アップの秘訣3. 状況にあったカラーチョイス

ルアー ケース
出典: 写真AC

ルアーのカラーチョイスは、多くのアングラーが最も悩む要素です。「魚と人間とでは、目が光として認識できる可視範囲や色の見え方が大きく異なっている」とされているため、コンディションごとに、多くのアングラーが有効性を認めるカラーが存在しているものの、有効である理由については、実はハッキリとは分かっていません

ここでは、ルアーのカラーを大まかな系統ごとに5種類に分類し、多くのアングラー共通の経験に基づいて断定されている基本的な特徴を解説していきますので、これを念頭に柔軟にカラーを選択するようにしてください。

系統ごとの基本的な特徴1. チャート系カラー

チャート (正式には「チャートリュース」)系カラーは視認性が高く、目立つカラーであるため、アピール力の高さが最大のメリットですので、マッディーウォーターや薄暗い時間帯のゲームでは、必ず用意しておきたいカラーでしょう。特に、ベイトを探して活発に泳ぎ回っている高活性の個体が来るのを待つアプローチスタイルにおいては、遠く離れた場所からでもルアーの存在を見つけやすいチャート系カラーは、大いに武器になります
また、縄張り意識の強い個体からリアクションバイトを引き出す際にも、アピール力の高さがいきてきます。

ただ、”視覚に強烈にアピールする性質故に、スレやすい“という欠点も併せ持っており、頻繁にカラーチェンジを行ったり、ハイスピードのアクションで使ったりする工夫が必要な場合も多々あります。
3投程度であっという間に見飽きられてしまうようなことも珍しくないため、魚の入れ替わりがあまり頻繁に起こらないフィールドの場合は、ここぞという場面でのみ使うにとどめる方が良いかもしれません。

系統ごとの基本的な特徴2. マット系カラー

“マット系カラー”は、光沢のないカラー全般を指す言葉であり、該当するカラーの種類は幅広くなっています。マット系カラーは、カラーリングによっては一定のアピール力がありながらも、光沢がない分、シルエットが悪目立ちする心配がなく、ナチュラル性とアピール性とのバランスが良い点が魅力です。さまざまなコンディションで使える守備範囲の広さは、釣り場到着後に最初にキャストするパイロットルアーとしての使用にも適していますし、活性が低いシビアコンディションにおいても出番の多いカラーでしょう。

ただし、”シーバスの視覚にルアーの存在を強烈にアピールする”ということが難しい分、縄張り意識から起こるリアクションバイトを誘発する力には劣っているほか、ベイトを活発に追いかけてボイルを繰り返しているような状況下では、アピール力がイマイチ足りずにスルーされてしまうことも少なくありません。

特に、ベイトを積極的に追いかけているタイプの個体を、魚の通り道となるラインで待つスタイルでアプローチする場合は、遠距離からの視認性が悪いマット系カラーは、明らかにアピール力不足です。”オールマイティー性が高い分、特定のシーンでは攻め切れない場合もあるカラー“と言えます。

系統ごとの基本的な特徴3. ナチュラル系カラー

ナチュラル系カラーは、マッチザベイトの理論に則したカラーリングであり、特に、匂いが付いているタイプのソフトルアーにおけるナチュラル系カラーともなれば、魚の目には、ベイトそのものに映るでしょう。ナチュラル系カラーは、アピール力を犠牲にする代わりに、エサの姿に極限まで近づけることに主眼が置かれたカラーですので、「リアクションバイトよりも捕食本能によるバイトで結果を出していくカラー」と評価できます。

特に、自分の近くにいる捕まえやすいベイトを拾い喰いしているようなタイプの個体に対しては非常に有効であり、故に、かなり幅広いコンディションにおいてヒットカラーとなるポテンシャルを秘めています。

もちろん、高いアピール力は期待できず、アピール力の高さが釣果につながるシーンには不向きです。また、活性の高い個体が活発にベイトを追い掛け回している状況では、普通に考えると、”周りのベイトの姿に溶け込ませられるナチュラル系カラーが有効である”と考えがち。ですが実はベイトに興奮しているシーバスは、本物のベイトの動きには到底かなわないルアーに対する反応が極端に悪化していることが多く、逆にアピール力の高いカラーで視覚に訴えて口を使わせる方が効果的なのです。

系統ごとの基本的な特徴4. パール系カラー

パール系カラーは一見すると、決して派手なカラーリングではないのですが、水中では意外なほど目立つカラーです。そのため、前述のチャート系カラーと同様、アピール力をいかした使い方で威力を発揮します。ただ、パール系カラーの場合は、ベイトの種類によっては、ナチュラル系カラーに分類されるカラーとなるため、ベイトパターン次第でさまざまな使い方が可能です。

頭部のみが赤く色付けされた「レッドヘッド」と呼ばれるカラーや、チャート系カラーと組み合わせた「チャートパール」と呼ばれるカラーは、昔から実績の高いカラーとして知られています。

なお、ハイアピールカラー全般において共通するスレやすさは共通しているものの、バリバリのチャート系カラーと比較すると、スレやすさのレベルは少し落ち着いています

系統ごとの基本的な特徴5. ゴールド系カラー

ゴールド系カラーは、どの系統のカラーにもない独特の特徴から、他のカラーとは分けて考える必要があります。ゴールド系カラーの最大の長所は、どのコンディションにおいても安定した実績がある点です。ゴールド系カラーは人の目から見ると、ナチュラル性よりもアピール性を意識したカラーに見えますが、ゲームフィッシング全般においては、ナチュラル系カラー寄りの使い方でポテンシャルを発揮するカラーなのです
とはいえ、金色であることには変わりないため、一定のアピール力も同時に期待でき、リアクションバイトも捕食本能によるバイトも両方起こせる最強の存在です。

あくまで筆者の経験による予想ですが、ゴールド系カラーの高い汎用性は、前述したマット系カラーのような、”アピール力と自然さのバランスが取れているから”ではなく、”魚がルアーに近づくまではハイアピールなのに、ルアーに近づいたとたんに魅力的なベイトに見えてしまう”という、ゴールド系カラーにしかない特徴から来る強みでしょう。

爆釣はなくても、コツコツと安定した釣果を積み重ねたい方や入門者には、ゴールド系カラーのルアーは非常におすすめです。

シーバスゲームは適切且つ大胆な決断が好釣果につながる

シーバスゲームで納得のいく良い釣果を出すためには、バイトが起こるメカニズムを理解し、基礎的な知識を学んで、自分のゲームに適切に適用することが何よりも重要です。
時には、一般的な常識とは全く異なるアプローチスタイルを試したり、根掛かりによるロストを恐れずに、果敢にストラクチャースレスレをトレースしたりするなど、大胆な決断が好釣果につながることも珍しくないことを頭に入れておくと、より好釣果に近づくことができるでしょう。