柱状節理が有名な観光地 唐津・七ツ釜の地磯

皆さんは唐津の七ツ釜を訪れたことはありますか? 有名な観光地なので、釣りをしない人でもよく知られているところです。玄武岩の柱状節理が海岸線に広がっており、この地磯で魚が釣れるのです。観光地だから駐車場やトイレも整っており、歩いて15分ほどかかることを除けば受け入れ態勢は万全といっていいでしょう。

目次

●遊歩道を歩いて釣り場へ

撮影:筆者
七ツ釜の東側にあるガガラ瀬は北東の風が吹くと正面から波が押し寄せ、
一面にサラシが広がります。比較的足場はいいのですが、現在は立ち入りが禁止されています。

玄界灘の荒波が浸食して海岸には奇岩が連なり、それぞれの岩には名称が付けられています。そして、それらの奇岩を巡る遊歩道が設けられていますから、キャリーを使えばそれほど苦労しなくても釣り道具を運ぶことができます。

実績が高いのは平瀬、象の鼻、本瀬の三か所です。釣れるのはグレ、チヌがメインで、他にヤズ(ブリの幼魚)やヒラマサ、ヒラスズキ、サワラ、アオリイカなどです。かつてはカゴ釣りをする人が圧倒的に多かったのですが、近年はフカセ釣りが増えています。

かつては足場のいいガガラ瀬という釣り場もあったのですが、観光客にとっては危険なため立ち入りが禁止されてしまいました。

●地磯の釣りは要注意

撮影:筆者
象の鼻の先端は意外に傾斜がきつく、慣れないと危険です。決して無理をしないでください。

ここでいう地磯とは歩いて行ける磯という意味で、九州ではこの言い方が一般的です。堤防と同じように気軽に釣りに行ける場所なのですが、堤防と大きく異なる点があります。それが危険度です。理由は、まず足場にあります。テトラを除けば堤防は99%平坦で、踏み外したりしない限り転倒・転落することはありません。対して、磯は平坦な場所は少なく、多かれ少なかれ凹凸があります。傾斜もしています。特に、七ツ釜の本瀬は急傾斜な部分があり、ベテラン向きといっていいでしょう。

危険な理由の二番目はです。堤防を越える波が生じることはほとんどありませんが、磯はそれほど珍しくありません。外洋に面している可能性が高く(それだけ魚は大きいわけですが)、沖から押し寄せた波は一気に膨らんで信じられない高さまで這い上がることがあります。
さらには、危険だからと釣りに行くことを止める人はいないのです。自分で判断しなければいけないのです。天気予報や潮汐表を確認して、波はこれから高くなるのか収まるのかを予測しなければなりません。高くなると判断すれば安全な釣り場に変更しなければなりません。

撮影:筆者
象の鼻と名付けられた理由はこの写真からわかると思います。その向こうにあるのが平瀬です。

七ツ釜ではこれまで多くの釣り人が事故で命を失っています。2020年3月にも釣り人が海に転落・死亡するという事故が発生しました。地磯とはいえ、磯は磯です。ライフジャケットと磯靴は必ず着用してください。そして、波が高いと感じたら諦めてUターンする勇気を持ってください。

●ヒラスズキのハイシーズンは4〜5月

撮影:筆者
ヒラスズキはキャッチ&リリースが原則です。そのため
できるだけ魚体に傷つけないようにフックを外してください。

スズキには三種類いることはご存じでしょうか? マルスズキ、ヒラスズキ、タイリクスズキです。
最も一般的で河口などで釣れるのがマルスズキ(単にスズキと呼ばれることが多い)、潮通しがよくて水がきれいなところで釣れるのがヒラスズキです。タイリクスズキはホシスズキとも呼ばれています。まだ習性は詳しく解明されておらず(これはヒラスズキも同様です)、絶対数が少ないのもあって狙う人は少ないのが現状です。

3月はヒラスズキの産卵期とあって活性が高くなく、水温が上がる4〜5月が春のハイシーズンとされています。その4月、ヒラスズキを追って七ツ釜に向かいました。少し荒れ気味の日でした。

ヒラスズキに欠かせないのがサラシです。磯に這い上がった波が海に落ち込むとき、真っ白なサラシが広がります。ヒラスズキはその下に潜んでいるのです。ベタナギだとサラシは生まれず、期待はできません。といって、波が高すぎると危険度が高まりますから、その辺りの兼ね合いは難しいものがあります。

●ナイスサイズのヒラスズキをゲット!

撮影:筆者
七ツ釜の釣り場の中で一番人気があるのがこの平瀬です。
波がなければ先端は足場がよく、釣り人は真っ先にそこに向かいます。

駐車場にはまだ暗いうちに到着しました。朝マズメに照準を当てていたからです。まだ暗い遊歩道を平瀬に向かいます。ルアー釣りではコマセが必要なく、その点はありがたいと思います。

15分と少しで平瀬に到着しました。薄暗い中、適度なサラシがあるのが見えます。波はちょうどいいようです。これから干潮に向かうため、サラシはどんどん小さくなると思われます。チャンスタイムは長くはありません。急いで準備してポイントに向かいます。

手前の高いところから攻めていきます。ヒラスズキの場合、そこにいれば2、3投のうちにヒットしますから、バイトがなければどんどん足場を移動していきます。

ゴツン!バイトがありましたがヒットには至りません。同じポイントを繰り返し攻めましたが、ルアーを見切られたようです。諦めて先端まで移動します。ときどき波が這い上がってきますが、潮位は下がっていくため危険はないようです。

サラシの切れる辺りにキャストしてリーリングを始めます。探れる範囲が狭いため、立ち上がりの早いルアーが有利です。その地点での二投目です。
ゴン!今度はしっかりフッキングできました。グイグイ絞り込みます。ミディアムクラスのロッドがしっかり支えます。裏側の波静かな地点に誘導してランディングします。70㎝クラスのナイスサイズでした。

●まとめ

ヒラスズキが釣れるところはそんなに多くありません。潮通しがよく水がきれいでないという条件を満たせるところが少ないからです。人間の生活圏からは遠く離れたところが多く、その意味では七ツ釜は比較的近場で釣れるため貴重な存在といっていいでしょう。したがって、ヒラスズキ釣りの入門としては好適といっていいでしょう。

マルスズキに比べてヒラスズキは釣るのが難しいといわれています。荒波と速い流れの中で生活しているためパワーがあり、簡単にはランディングできないからです。しかし、それだけに釣り上げたときの喜びは格別なものがあります。皆さんもぜひヒラスズキ釣りにチャレンジしてみてください。

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