魚のお刺身で淡水魚が用いられない理由をご存知ですか?淡水魚が生食できないのは周知の事実ですが、その原因について知っている人は多くありません。そのため、「少しぐらいなら大丈夫」と軽視してしまう場合があります。
しかし、淡水魚の生食には大きなリスクがあり、時に重篤化してしまうことも。
そこで、今回は淡水魚の生食が危険な理由についてご紹介します。釣り人の方は要チェックです。
1淡水魚の生食が危険な理由
淡水魚の生食は非常に危険で、軽いノリで食べるとおそろしいことになります。では、淡水魚のなにが人体に悪影響をおよぼすのでしょうか?それは淡水魚に潜む寄生虫「顎口虫」が原因です。
顎口虫(がっこうちゅう)とは?
顎口虫は淡水魚などに寄生している寄生虫です。寄生されている生物を生食することで、最終的に哺乳類に寄生します。幼虫の段階では3mm前後と小さいものの、成虫では1cmを超えることも珍しくありません。
淡水魚の中でも、ライギョやフナ、ナマズ、ドジョウなどに多く寄生しており、これらを食べる際は生食を避けたほうが良いでしょう。
1顎口虫症の症状
顎口虫が体内に入ることで発症する「顎口虫症」は非常におそろしい病気です。顎口虫が人体に入ると、胃を破って体内を動き回りさまざまな場所に移動することが知られています。
この侵入場所によって症状は大きく変わり、目に移動すると失明してしまったり、頭部に侵入することで脳に悪影響をおよぼしたりなど、重篤化してしまうこともあります。
顎口虫症の治療法
顎口虫症が疑われる場合は速やかに病院に向かいましょう。寄生が確認された場合は服薬もしくは手術によって取り除かれます。
顎口虫症の予防法
とてもおそろしい顎口虫症ですが、予防を徹底すればその心配はありません。ここでは、顎口虫症の予防法についてご紹介します。
加熱する
顎口虫症を予防するためには、ご存知の通り“加熱”することが効果的です。火を通すことによって、身に潜む顎口虫は死滅します。ただし、加熱具合があまいと生き残っている可能性があるため、内部までしっかり加熱しなければなりません。
冷凍する
顎口虫は冷凍することで死滅させることができます。温度は約-20℃で5日、一般的な冷凍庫(-4℃前後)であれば、12日程度冷凍する必要があります。ただし、状況によって冷凍具合にムラができてしまうため、確実な方法とは言えません。
どうしても味わってみたい場合は専門店で適切に調理されたものをおすすめします。ちなみに、北海道の郷土料理である「ルイベ」は冷凍することで、保存性を高めるとともに寄生虫を無害化しています。
海外での魚料理に注意する
東南アジアの一部の地域では淡水魚を生食する文化があります。適切な管理がしてあるとは限らないので食べる際は気を付けましょう。また、加熱具合にも注意する必要があります。
1淡水魚に潜むその他の寄生虫

淡水魚には顎口虫の他にもさまざまな寄生虫が潜んでいる可能性があります。ただ、これらの寄生虫もしっかり加熱することで危険性はなくなるので安心してください。
横川吸虫(よこがわきゅうちゅう)
アユに寄生していることが多い横川吸虫に寄生されると腹痛や下痢といった症状を引き起こします。ただ、重篤化することはほとんどありません。
肝吸虫(かんきゅうちゅう)
肝吸虫はコイ科魚類に寄生していることがある寄生虫です。体内に侵入すると下痢や不快感、最悪の場合肝硬変につながってしまうこともあります。
淡水魚が生食できる場合もある
実は淡水魚でも生食できる場合があります。淡水魚は自然下で暮らすうちに、餌や水から寄生虫に寄生されることがほとんどです。そのため、餌や飼育環境がしっかり管理された養殖ものであれば生食できる場合もあります。
1まとめ:淡水魚の生食が危険な理由
釣りをしていると魚を調理する機会は多いことでしょう。その際に魚に潜むリスクを知っておくことはとても大切です。おいしい魚料理を安全に味わうために、今回の記事がお役に立てば幸いです。