食べたい魚はなんですかと日本人に尋ねると、大半の人はタイと答えるそうです。これをご覧になっているあなたもそう思ったんじゃないですか?
クロダイは色こそシルバーですが、体型はマダイとそっくりですから、食べることにはなんの抵抗はないと思います。味のレベルも高く、さまざまな料理法があります。ここでは、あまり手をかけずに美味しく食べられるレシピを紹介しましょう。
このシリーズを最初から一気読み!>>釣りたい魚はクロダイ!最適な時期と釣り場は?
1●ごまチヌ

刺身にした状態のクロダイをごまダレに漬け込んだものです。そのまま食べてもいいし、
白ご飯にませればヅケ丼、その上から緑茶をかければお茶漬けになります。
食べ方は自由です。お好みでどうぞ。
チヌとはいうまでもなくクロダイの関西地方での呼び方です。ただ、ごまクロダイでは語呂が悪いので、ここだけチヌとさせてもらいます。
福岡にはごまサバという名物料理があり、これはサバの代わりにクロダイを使ったものです。
まず、刺身を1㎝幅に切っておきます。あとは、すりごま、醤油、酒、ミリンにおろし生姜を混ぜたタレに漬け込む。ただそれだけです。冷蔵庫で半日ほど寝かせれば食べごろです。寝かせなくても十分食べられるし、ご飯に乗せれば漬け丼になるし、その上からお茶をかければ茶漬けになります。
タレの比率はミリン1、すりごま1、醤油2です。酒は1/2ですが、なくても構いません。おろし生姜は少々です。食べる直前に青ネギや大葉、ミョウガなどを刻んで乗せると風味がよくなります。
●中華風刺身
クロダイの刺身に野菜の千切りをたっぷり乗せて、中華風のタレをかけただけです。通常の刺身と違って薬味が効いているから生臭さは完全に消えます。
野菜は大根、キュウリ、ニンジンを千切りにします。ミョウガ、白ネギ、大葉は小さく刻みます。
タレは醤油、酢、サラダ油、ごま油を同じ比率で混ぜて、生姜、ニンニクのみじん切りを加えます。お好みでごまや豆板醤、食べるラー油もどうぞ。
●湯引き

刺身にするには皮を引く(剥く)という作業が欠かせません。しかし、皮を引くのは
コツと慣れが必要で、たとえ慣れたとしても気を使います。
その点、湯引きだとその手間は不要です。刺身とは違う味も楽しめます。
湯引きとは皮付きの魚の身を熱湯にくぐらせて、表面にだけ火を通す調理です。これにより生臭さを取り除き、皮を軟らかくします。
刺身のように皮を引く(皮を剥ぐ)必要はなく、そのまま食べることができます。同時に、魚の旨味を引き出すともいわれ、スズキやハモ、サメ、コイ、それにマダイの調理にも使われます。
方法は簡単です。刺身の場合よりも大きめにカットして熱湯に浸すか、または熱湯を上からかけます。表面の色が少し変わるぐらいというのが目安で、茹でるわけではありません。臭みを取る目的で湯に酒を混ぜる人もいます。
色が変わればすぐ冷水に浸して温度を下げ、水気を拭き取ります。
臭みを取るという効果を利用して、鍋料理や煮物の下処理として用いることもあります 。
湯引きした魚は酢みそで食べるのが定番です。醤油ではありません。混ぜる比率は味噌2、酢1、砂糖1です。好みによって辛子を加えてもいいでしょう。
●クロダイの炙り
三枚におろしたクロダイの身をクッキングバーナーで炙るだけです。刺身で食べられるほど鮮度が高いので軽く炙るだけで十分です。湯引き同様、皮に火を通せば軟らかくなり、身と一緒に食べることができます。ワサビ醤油がいいでしょう。炙るときは網に乗せ、皮に切れ目を入れておくといいでしょう。
1●西京焼き
西京焼きは本来、京都生まれの甘い味噌である西京味噌を使ってサケやサワラなどを調理するものです。でも、家庭に常備している米味噌や麦味噌を使ってクロダイを調理しても美味しく食べられます。味噌が臭みを消すので、クロダイが苦手な人も喜びます。
漬け込む味噌は、味噌2、酒1、ミリン1〜2、砂糖1の比率で混ぜておきます。
クロダイは切り身にして水気をぬぐい、塩を振って寝かせます。切り身が小さい場合は30分ほど、大きいときは1時間かけて、それから味噌に漬け込みます。冷蔵庫で1〜2日漬け込む必要があるため、たくさん釣れたときに一部をこの西京焼きに回せばいいでしょう。
焼くときは味噌を拭き取り、洗わずにそのまま焼いてください。中火で1分ほど焼くだけで十分です。焦げやすいので注意してください。
●クロダイめし
マダイを使った鯛めしという料理がありますが、マダイの代わりにクロダイを使ったものです。
二人分として2合の米に対してクロダイの切り身7〜8㎝幅を二切れ使用します。これを醤油、ミリン、酒各同量の漬け汁に30分ほど浸します。そして米の上に並べ、炊飯器で炊きます。水の代わりに漬け汁とだし汁300㏄を入れますが、足りない分は水を加えます。
炊き上がったらクロダイの切り身を取り出し、骨を取り除きます。部位によっては小骨がありますから注意してください。最初に大きな骨を抜き出したら、最後は指先で身をほぐして小骨を探します。それが終わればご飯に混ぜ込み、調理は終了です。
食べる際は三つ葉や青ネギ、木の芽、ミョウガなどを刻んで散らします。
●まとめ
クロダイはタイ科の魚で、それなら美味しいのではないか?初心者のみなさんはそう思いがちで、これを読んでいるあなたもそう思ったのではないですか?
しかし、食べることに関しては釣り人の間ではそれほど人気がありません。
締めて血を抜き、氷の効いたクーラーボックスで持ち帰っても、水分が多いため身が軟らかくなるのが早いからなのです。
また、住んでいる海域の影響を受けやすく、場所によっては臭みが出るケースが多いのです。そのため、ここではできるだけ臭みを消す調理法を紹介しました。自分で釣り上げた魚は美味しく食べましょう。