編集部注:本稿タイトルにクロダイに関して一般的ではない表現(海の女王)がありましたので訂正の上掲載しております

撮影:筆者
カセ釣りに使用する竿は短く、クロダイの引きが間近に感じられて緊迫感を存分に味わうことができます。写真はイカダで撮影したもので、カセに比べて自由度が高く、
トレイも設置されているところが多くて初心者にはこちらがお勧めです。

あなたはカセという言葉を聞いたことがありますか?これは釣りの専門用語で、一般の人はまず知らないでしょう。

釣りの世界では自力では航行できない小舟を意味し、この上から釣りをするというのがカセ釣りになります。
サシエをダンゴでくるんで底まで沈めるという独特な釣り方が特徴で、関西では同じようにダンゴでくるむ堤防での釣り方があり、それは紀州釣りと呼ばれています。考え方としては、その紀州釣りを小舟、またはイカダの上から行うのがカセ釣りになります。

●堤防からのグレードアップ

撮影:筆者
クロダイはすぐ目の前に浮いてきます。水中の様子も確認できますからドキドキ感も満点です。

堤防は好きな時間に行って好きな時間に帰ることができます。先客がいなければどこでも釣りができますし、大半は経費がかかりません。足場もよく、初心者のみなさんが釣りを覚えるには絶好の場所なのですが、欠点もあります。
手軽なせいでたくさんの釣り人が訪れるし、中にはマナーをわきまえていない人もいるということです。それが煩わしくて、いつも誰もいないところで釣りをするため、クーラーボックスの中は常に空っぽという人もいます。

といって、渡船を利用する磯釣りはハードルが高く、専用の道具が必要で、手軽とはいえません。経費もかかります。そこで、釣り方が嫌いでなけれぱまずはカセ釣りを体験してみることをお勧めします。

釣りをするのは湾内で波はなく、船酔いが苦手な人にも向いています。ひとりでのんびりと釣りをするには打ってつけで、仲間と楽しむことも可能です。

●最大の特徴はダンゴでくるむこと

撮影:筆者
カセ釣りに使用するダンゴのサイズは7〜8㎝程度です。朝の釣り始めは大きめのダンゴを使って
コマセ効果を高くします。アタリが連続するときはピンポン玉大にすると勝負が早くなります。

この釣りの最大の特徴はサシエをダンゴでくるむことにあります。目的はエサ盗りからサシエをガードすることにあります。

このダンゴはコマセの役目を兼ねていますから、海底に沈んだダンゴの周囲にはたくさんの魚が集まってきます。そして、思い思いにダンゴをつつきます。やがてダンゴが割れてサシエが飛び出します。それを食べた魚がハリに掛かるというわけですが、エサ盗りやクロダイ以外にもさまざまな魚が集まってきます。アジやグレ、スズキ、ベラ、カサゴ、カワハギ、ボラ、秋にはブリなどの回遊魚もヒットします。
釣り場によってはマダコもアタり、その意味ではなにが釣れるかわからないという楽しみもあります。

●アタリは竿先に表れます

カセ釣りではイカダ用として販売されている短くて繊細な竿を使用します。ダンゴが底に沈んだら竿先を少し曲げた状態でダンゴが割れるのを待ちます。ダンゴが割れると竿先が戻りますから、少し竿先を下げてアタリを待ちます。

アタリの出方は魚によって変わります。ほとんどはエサ盗りですから、竿先にチョンチョンと小刻みにアタります。その時点でアワせてハリに掛かるのはカワハギです。クロダイはもちろん、他の魚もまず掛かりません(例外はあります)。青物の場合は一気に竿先を引き込むパターンが多いようです。

クロダイは少しずつ引き込みますから、竿先にかかるテンションが変わらないように少しずつ竿先を送ります。やがてグーンと大きく引き込まれますから、その時点で竿を立ててアワせます。

●難しいダンゴの握り方

この釣りで難しいのはダンゴの握り方でしょう。硬すぎても軟らかすぎてもいけないのです。
一般に、ダンゴは市販品にオキアミやアミエビを混ぜます。そして、海水を加えて硬さを調節し、サシエをくるんでおにぎりのように何回握ったかで最終的に硬さを決めます。

硬く握りすぎると海底まで沈んでもなかなか割れず、じっと待ってないといけません。これは時間のムダです。軟らかすぎるとダンゴが沈む途中で割れて、海底まで届きません。この釣りでは小さなガン玉だけで10〜20mの水深を釣るのです。ダンゴは3つの役目を兼ねているのです。

●シーズンは夏〜秋

カセやイカダで釣りをするのは波穏やかな湾内で、海底はほとんど砂地です。そんなところをクロダイは住みかにしていません。基本は身を隠すことができるテトラや岩礁帯が住みかで、あとは食事をする「エサ場」との間を回遊しています。平坦な砂地はクロダイにとってなんの魅力もありません(ムシ類や貝などのエサはありますが)。ここにダンゴを沈めてクロダイを寄せるのですから、時期としてはクロダイが活発に行動する水温の高い頃が中心になります。
場所によっては寒い時期でもカセ釣りが可能なところはあります。しかし、それは例外と思っていいでしょう。

もっとも、カセ釣りが楽しめるのは限られたエリアだけです。湾内に養殖場や真珠棚などがあり、施設が整った渡船業者がなければなりません。残念ながら、全国的に見てそのような釣り場はあまり多くありません。近くに釣り場があれば幸運だと思ってください。

●まとめ

カセ釣りは九州ではダゴチン釣りと呼ばれています。ダンゴでチヌを釣るという意味です。カセ釣りよりはわかりやすい言葉ですが、ここではカセ釣りで通しています。ご了承ください。

この釣りは繊細で、魚の動きが竿先を通して伝わります。それに対してどうすればエサを食い込んでくれるかを考え、こちらも繊細な動きで対応します。予想通り食い込ませてハリ掛かりさせたときの喜びはウキ釣りとはまた違ったものがあります。ぜひ体験してみてください。

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